春場所で見事初優勝を果たした若隆景。
新関脇優勝は双葉山以来86年ぶり、15日制度以降では史上初である。
新関脇優勝ばかりに注目が集まるのは無理のない事であるが、そもそも新関脇で12勝以上の成績を挙げたことも珍しい出来事である。
年6場所制となった昭和33年以降、新関脇で12勝以上は今回で『5回目』である。
詳細については以下の通りである。
場所 |
成績(三賞) |
上位戦成績 |
優勝力士 |
備考 |
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12勝3敗 (次点、技) |
1勝2敗 横綱0勝1敗 大関1勝1敗 |
13勝2敗 |
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昭和37年九 |
12勝3敗 (次点、敢・殊) |
4勝1敗 横綱1勝1敗 大関3勝0敗 |
13勝2敗 |
2大関が休場。優勝には敗戦。 |
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平成17年秋 |
13勝2敗 (同点、敢) |
2勝1敗 横綱0勝1敗 大関2勝0敗 |
13勝2敗 |
1大関が休場。優勝力士には敗戦。 |
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13勝2敗 (次点、敢・殊) |
3勝1敗 横綱1勝0敗 大関2勝1敗 |
14勝1敗 |
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令和4年春 |
若隆景 |
12勝3敗 (優勝、技) |
1勝2敗 横綱0勝0敗 大関1勝2敗 |
若隆景 |
1横綱休場。 |
全力士が次点以上の成績となり、今回の若隆景が初優勝を果たす結果となっている。
上位戦を見てみると、豊山、琴欧州、照ノ富士が勝ち越し、大鵬、そして今回優勝を果たした若隆景は負け越している。
特に照ノ富士はこの中で唯一優勝力士に勝利して13勝の成績を残しているため、数字だけの比較ならば若隆景より上と言える。
若隆景は横綱(照ノ富士)が途中休場したという追い風も味方したと言えるが、それでも今場所の若隆景の相撲を見れば誰もが納得の優勝と言えるだろう。
そして過去の4名は全員『後の横綱・大関』だということである。
しかも新関脇で12勝以上を果たした2場所後に大関昇進を果たしている。
若隆景の場合、先場所が平幕で9勝のため、今場所が起点の場所となるだろうから、過去の4名と同じ道を辿るのは厳しいかもしれないが、それでもいずれは大関に昇進できるのではないかという期待を持たせる記録と言えるだろう。
相撲内容に関しては特に問題ないだろうが、あとは『横綱戦初勝利』がカギとなるか。
過去大関昇進した力士で大関昇進3場所間に横綱戦未勝利の力士は『魁傑(2回目)』『朝乃山』の2名存在する(朝乃山は不戦勝1つあり)。
過去に存在するとはいえ、若隆景の場合はこれまでに横綱戦未勝利であるため、これは印象が悪くなる可能性も考えられる。
現状横綱は照ノ富士1人であり、その照ノ富士戦は8戦全敗、横綱昇進後3戦全敗である(厳密に言えば若隆景に不戦勝1つあり)。