きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

457. 大関昇進の基準は厳しくするべきなのか?

大相撲ロスにも徐々に慣れ始めてきた頃合いだが、2日程前に元横綱武蔵丸のコラムを目にした。

number.bunshun.jp

先場所終わりにも武蔵丸のコラムに関してブログを記載したのが、今場所もそういった形になる。

ほぼ題名通りだが、大関昇進のハードルを高くしなければ角番を繰り返す可能性が高いことを危惧した内容である。

大関昇進の目安に『3場所33勝』が存在するが、これは協会より定められた基準、条件ではない。

明確な基準が存在しないため、昇進に関しては色々と揉めることが多い。

ちなみに大関昇進に関しての私案は過去前編中編後編の3部作で記載しているため、ご参照していただけると幸いである。

私案を簡潔に説明すると

〇基本三役で3場所33勝且つ2場所連続二桁勝利が必要

〇6場所連続三役在位で負け越しなしで60勝

といった内容である。

私自身が数字にこだわる理由としては、明確な数字があった方が昇進後の批判を受けにくいと考えているからである。

そして6場所60勝に関しては、大関は安定した成績を求められる地位でもあるため、1場所平均10勝の力量があれば昇進させても問題ないだろうという考えである。

そして今回の御嶽海の昇進を振り返るが、御嶽海は全て三役在位した中で『9勝→11勝→13勝(優勝)』の『合計33勝』による昇進である。

これは私案でも昇進可能な数字であり、私自身は文句なしの昇進だと思っている。

しかし武蔵丸はハードルを高くした方が良いと発言している。

その理由は上記の通り現役大関2名のように角番を繰り返す可能性を危惧しているからである。

焦って昇進させても角番を繰り返すだけだと懸念している様子である。

確かに現在の2大関を見ていたら不安になる気持ちはわかる。

貴景勝は相次ぐ怪我により角番を繰り返し、正代は勝ち越しが関の山であり、今場所に至っては皆勤負け越しを喫してしまった。

そして御嶽海自身も強い御嶽海と弱い御嶽海が混在し、終わってみれば一桁勝ち越しに終わることも多いため長年三役で燻っており、大関昇進後もそうなってしまうのではないかという不安があるのだろう。

しかし振り返ってみると、貴景勝、正代ともに大関へ昇進を果たした場所でそこまで多くの批判を浴びただろうか。

まず貴景勝は『13勝(優勝)→11勝(次点)→10勝』の『合計34勝』で昇進を果たしたが、千秋楽前からこの場所角番だった栃ノ心と『大関入れ替え戦』のムードが高まっており、千秋楽見事栃ノ心を下して10勝目を挙げた際、この段階で批判的な声など全く聞かなかったと記憶している。

貴景勝はこの前の場所の時点で『9勝→13勝(優勝)→11勝(次点)』の『合計33勝』としていたが直前場所が『新関脇だから』という理由で昇進見送りになっている。

むしろこの時の方が『なぜ昇進させないか?』という点で批判の声が上がっていたと思う。

次に正代だが、正代は『8勝→11勝→13勝(優勝)』の『合計32勝』といわゆる目安の33勝に1勝届かないが大関昇進を果たした。

しかしこの時も正直批判的な声をあまり聞かなかったように感じる。

その背景としては8勝の前の場所に平幕ではあるが上位圏内の番付で13勝を挙げており、この場所の活躍も含めて正代の強さを感じたため、大関昇進に文句を言う者はいなかったと思う。

話は変わるが、栃ノ心は歴代最多タイの3場所37勝で昇進を果たしているが、大関昇進後の成績は歴代最低の勝率を残しており、短命大関に終わっている。

雅山朝青龍はともに3場所34勝で昇進を果たしているが、雅山は短命大関に終わり、朝青龍は時の第一人者へ成長を遂げた。

あくまで昇進前の成績と昇進後の成績に相関関係はないのである。

基準を厳しくしすぎてしまってはこの先大関昇進を果たせる力士もかなり数を減らす事になるだろう。

ちなみに武蔵丸は『8勝→13勝(同点)→12勝』の『合計33勝』で昇進を果たしており、今回の御嶽海と白星の合計は同じである。

武蔵丸と御嶽海の3場所間の上位戦に関してみてみると

武蔵丸

御嶽海

横綱戦:2勝1敗

大関戦:5勝2敗

合計:7勝3敗

勝率:0.7

上位人数:1横綱2大関(最初の場所は3大関

横綱戦:1勝2敗

大関戦:3勝0敗

合計:4勝2敗

勝率:0.667

上位人数:1横綱2大関

武蔵丸の方が上位戦の成績は良いが、そこまで差はなく、僅差と言っても差し支えないだろう。

御嶽海の方が上位戦が少ないが、これは御嶽海に非があるわけではなく、割崩しや貴景勝休場に伴うものである。

余談だが武蔵丸大関昇進の3場所を除けば、それまでの最高成績は11勝であった。

一方御嶽海は13勝の経験もあり、2回の優勝経験もある。

これに関しては御嶽海の方が優位な点とも言える。

現状言えることは御嶽海の昇進に関しては文句なしであり、昇進後の成績に関しては相関関係はないため不明ということである。

貴景勝、正代も昇進に関しては文句なしだった。

昇進前と昇進後の相関関係がない以上、現状1つの目安と呼ばれる『3場所33勝』を指標にするしかないと思う。

具体化させるのであれば、私自身の私案のようにしっかりと立案すれば良いだけの話である。

御嶽海としては大関昇進後どのような成績を残すだろうか。

活躍の度合いによって評価は大きく変わるだろう。