きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

454. 御嶽海を語る

御嶽海が7連敗中だった照ノ富士に勝利し、本割で優勝を果たして幕を閉じた2022年大相撲初場所

関脇で3回の優勝は史上初である。

審判部長が理事長に臨時理事会の開催を要請し、理事長が許可したため、大関昇進がほぼ確定したと言える。

まず本日の『照ノ富士ー御嶽海』を振り返ろう。

御嶽海は立ち合い当たってやや左に動きながらおっつけ、少し離れた展開からすぐもろ差しの形を作り、休まず攻めて照ノ富士に何もさせなかった。

御嶽海の完勝と言って差し支えない一番だが、照ノ富士側から見るともはや相撲を取ることが出来る状態ではなかったか。

粘り腰もなく、序盤戦とは別人のようにあっさり土俵を割ってしまった。

とにもかくにも御嶽海が本割で優勝を決めて、大関昇進に関しても文句のない相撲を取ったことが大きいだろう。

場所前は御嶽海の大関取りに関して13勝以上もしくは照ノ富士を下して12勝以上ならばという個人的な思いはあったが、何だかんだで一桁勝ち越しに終わる可能性も高いと思っていた。

そして年齢を加味しても今年がラストチャンスだろうという思いも強かった。

また優勝争いに関しては『今年の初場所も初優勝力士誕生か?それとも照ノ富士か?』と予想しており、私自身御嶽海を全く予想に入れていなかった。

しかし序盤戦を見ていると御嶽海は冷静かつ力強い相撲を取っていた。

それでもどこかで『弱い御嶽海が出るのでは』という思いがあり、心の底から信用はしていなかったが、中盤戦を見ていると今場所はそう簡単に弱い御嶽海が出ることはない、大きく崩れることはないと徐々に思い始めてきた。

結果的に弱い御嶽海が出たのは12日目の阿武咲戦くらいだろうか。

今場所の御嶽海はとにかく強かった。
すでに優勝経験2回の力士であり、誰もが認める実力者ではあるのだが、本来横綱以外の力士が優勝するときは実力以上の力が発揮されて成し遂げることが多い。

そのため優勝力士の白星を振り返っても『あそこで逆転勝ちしたのが大きかった』等となることが多い。

2年前の徳勝龍の突き落とし5連勝なんかはその最たる例だろう。

しかし今場所の御嶽海は13勝の白星全てが完璧と言っても過言ではない内容だった。

立ち合いの当たり、踏み込み、体の寄せ方、そして決して深追いはしない。

御嶽海の一発勝負の強さは現役大関貴景勝、正代、謹慎中の朝乃山より完全に上と言っても間違いではないだろう。

しかし3名が先に大関へ昇進し、御嶽海は関脇止まりである。

15日間総合しての力量不足、強い御嶽海と弱い御嶽海が混在しているからずっと関脇に留まっていたわけである。

しかし今場所のように強い御嶽海だけならば自ずと結果は良くなるというわけである。

御嶽海はとにかく期待を裏切ってきた。
三役に定着し始めたのは2017年頃からであり、翌年には早々初優勝も果たしている。

本来ならば初優勝をきっかけに一気に大関へ昇進してもおかしくないのだが、結局ここから大関昇進まで3年半時間を要することになってしまった。

相撲ファンからの御嶽海への評価も厳しい傾向にある。

序盤戦4勝1敗だったとしても『下位に取りこぼした』と言われる始末である。

番付は関脇でもファンからしたら御嶽海はすでに大関と同等レベルの扱いを受けてきたわけである。

そして来場所は名実ともに大関の番付に在位することになるだろう。

ファンからしたら今まで以上に厳しい意見が飛び交うかもしれない。

今までの御嶽海ならば二桁勝てば一つ期待に応えていたところはあっただろうが、今場所の活躍も踏まえると10勝、11勝では不満の声もあがってくるだろう。

私個人の考えとしては『大関止まりの力士』ならばそれでも十分な成績と言える。

しかし御嶽海の潜在能力を踏まえると果たして大関止まりの力士なのかという思いもある。

何せ関脇で3回の優勝である。
最初の方にも記載したがこれは史上初であり、関脇以下という概念でも照ノ富士以来2人目である。

そして歴代の横綱の中には優勝回数3回に満たない力士も存在する。

最高位大関でみても3回以上の優勝は魁皇小錦千代大海栃東と片手で収まるレベルである。

今場所のように強い御嶽海だけが出ていれば横綱昇進も夢ではない、そう思っているファンも多いはずである。

まずは優勝&大関昇進おめでとう。
しかし本当の意味で真価が問われるのは来場所以降かもしれない。

大関に昇進したことで気が緩み、一桁勝ち越しに終わる大関止まりの力士になるのか。
それとも逆に肩の力が抜けて、今以上に力を発揮することが出来るのか。

来場所以降も注目である。

御嶽海のことだけで長くなりすぎたので、千秋楽及び今場所の総論の方は後日記載したいと思います。