昨日までは照ノ富士、御嶽海の2名に優勝争いが絞られたと思っていたが、12日目でその両者が敗れるという波乱。
まず照ノ富士から振り返ると、昨日秋場所で明生が照ノ富士に勝った状況と全く同じ状況(10勝1敗の照ノ富士、4勝7敗の明生で12日目に対戦)で対戦するのでひょっとしたらという旨の記載をしたが、そのひょっとしてが起こってしまった。
立ち合い明生の踏み込みが良く、突き放していって照ノ富士の上体を起こすことに成功した。
これで照ノ富士が少し慌てたのか不十分な体勢で前に出たところを明生がうまく肩透かしを決めた。
明生としては狙い通りの展開だっただろうが、ここ数日の内容を見ていると本日のような相撲を取ることが出来るとは想像出来なかった。
やはり秋場所と同じ状況は偶然ではなかったのかと思いたくなる一方、照ノ富士の相撲が気掛かりである。
昨日も少し気掛かりではあったのだが、不安的中してしまった。
明生の流れのある相撲だったことに間違いはないのだが、それにしても慌てていたのかいつもどっしり構えた相撲には程遠い内容だった。
ある程度上体を起こされても残すのがここ数場所の照ノ富士である。
御嶽海が敗れたことで意識しすぎたのか、昨日千代翔馬に苦戦したことが影響しているのか、膝へのダメージが蓄積してきたか、それとも単純に負けてしまったのか。
原因は不明だが、いずれにせよ単独トップに立つチャンスを1度不意にする形となった。
取り組み後膝を気にする様子もあったため気掛かりである。
昨日最低限のノルマである二桁の白星に乗せた御嶽海が阿武咲に敗れて2敗目。
はっきり言って本日は『弱い御嶽海』が出たと言っていいだろう。
立ち合いもやや高く、阿武咲に立ち合いの当たりで上体を起こされ、引きにばったり落ちてしまった。
今場所の阿武咲は中々好調であるとはいえ、過去の対戦成績、今場所の両者の状態を加味しても御嶽海が負ける要素は少なかった。
大関昇進のためのいわゆる目安とされている3場所33勝に今場所は13勝必要だが、それを意識してしまったのか、昨日二桁に乗せたことで気が緩んだのかはわからないが、この黒星は痛手と言える。
もちろん関脇がここまで10勝2敗という成績は立派だが、上記の通り今場所の大関昇進を考慮するならば黄信号が灯ったかもしれない。
3場所33勝は条件ではないし、大関昇進の絶対的条件というものは存在しないため、何とも言い難いところではあるのだが、以前記載したように私個人の考えとしては13勝すれば昇進、もしくは照ノ富士に勝てば12勝でも昇進だと思っている。
照ノ富士に負けた時点でその両方が達成出来なくなってしまった。
御嶽海にとっては勝負の残り3日間となるだろう。
2敗の阿炎が隆の勝を下して2場所連続二桁勝利とした。
先場所千秋楽に完敗していた隆の勝相手だったが、的確に突っ張りを命中させ、足もしっかり出ていた。
そして頭で何度も当たりにいっており、攻めの姿勢を貫いていた。
中盤戦以降連敗があったり、攻め切れず動き勝つ相撲が主体だったため、ここらで自分の相撲で勝てたのは大きいだろう。
照ノ富士、御嶽海が敗れたことで優勝争いに再浮上したが、面白い存在になりそうである。
明日の注目の割は
『御嶽海ー阿炎』
もちろんこの一番だろう。
本日の相撲だけを考慮するならば、御嶽海は下向きであり、阿炎は上向きである。
そして優勝争いという点から見ても、阿炎は一時星の差2つあった展開から追い付いたということで、気分的にも楽ではないだろうか。
阿炎が謹慎する前までの両者の対戦は、阿炎の突っ張りに御嶽海が下がることなくあてがって対処するというのが大半だったが、あの頃と比較して阿炎の突き押しの威力は格段に向上している。
昨日までの御嶽海ならばそれでも慌てることなく対処し、阿炎に引かせる相撲を取らせると思うが、本日の相撲を見ると何とも言い難い。
どちらが自分の相撲を取り切ることが出来るかどうか。
今場所序盤戦終了時点でも記載したが、照ノ富士、御嶽海、阿炎の3名が次元の異なる相撲を取っていると感じていた。
中盤戦で変動があり、照ノ富士、御嶽海に絞られたと思われたが、ここに来て阿炎が再浮上し、やはり今場所はこの3名なのかと思わせる展開となった。
こうなると14日目の割も難しくなってくるだろう。
阿炎が勝って照ノ富士が負ける展開となればこの両者の割は必須となるだろう。
結局は明日の展開次第で大きく変わるため、14日目の割は明日の取り組み終了後に決めるのがベストだろう。
というかそれを絶対するべきである。
優勝争いは3名が並ぶ展開となったが、今場所も終わってみれば照ノ富士か。
それとも御嶽海が大関昇進と優勝の両手に花となるか。
はたまた今年の初場所も初優勝力士誕生か。
残り3日間、目が離せない。