きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

429. 正代は大関と呼ばなくていい存在なのか?

何だかんだで九州場所が終了してからも投稿を続けているのだが、本日は正代に関する話題である。

相撲ファンならば武蔵丸の辛口コラムを目にしただろう。

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確かに気持ちはわからなくもない。

ここ数場所は勝ち越しが関の山であり、1年間皆勤したが52勝38敗であり、いわゆる『クンロク』と呼ばれる勝利数にすら届いていない。

貴景勝は今年1年休場もありながら、同点1回、次点1回とある程度存在感を示しているため、余計そのように感じてしまうのかもしれない。

しかし私自身『大関を維持するレベルの力士ならばこんなもんでしょ?』という考えである。

以前こちら大関に関して記載したことがあるが、歴代の最高位大関に留まる力士の不甲斐なさは今に始まったことではない。

先場所終了時点で、正代は大関在位7場所である。

はたして歴代の最高位大関は7場所目まででどのような成績を残しているのかまとめてみた。

今回の検証は

①年6場所制となった昭和33年以降に大関へ昇進した力士

②後に横綱へ昇進した力士は除外

③魁傑、武双山栃ノ心貴景勝の4名は7場所に到達する前に1度関脇へ陥落しているが、大関復帰してからの成績を計算に入れて対象とする

大受、増位山は大関在位7場所に満たないため除外(厳密に言えば増位山は7場所だが、7場所目に引退しているため除外)

以上4点を考慮し、『全34名』を対象としている。

 

主な記録は

①7場所の勝敗

②勝率(白星÷出場回数としており、不戦敗も出場に含む)

③二桁勝利場所数

④負け越し数

以上4点とする。

 

さっそく記録だが以下の通りである。

  7場所勝敗 勝率 二桁場所数 負け越し場所 備考
琴ヶ濱 63勝35敗7休 0.643 5 1  
若羽黒 65勝40敗 0.619 3 2 優勝1回、次点1回
北葉山 61勝44敗 0.581 0 0  
栃光 75勝30敗 0.714 5 0 次点2回
豊山 70勝35敗 0.667 4 1 次点1回
清國 68勝37敗 0.648 4 4 優勝1回、次点1回
前の山 50勝40敗15休 0.556 0 1  
大麒麟 70勝35敗 0.667 5 0 次点1回
貴ノ花 51勝42敗12休 0.548 0 1  
魁傑 59勝46敗 0.562 2 2 次点1回
旭國 56勝37敗 0.602 2 1  
琴風 69勝36敗 0.657 4 0 次点1回
若嶋津 77勝24敗4休 0.762 6 0 次点1回
朝潮 53勝31敗21休 0.631 2 2  
北天佑 69勝36敗 0.657 4 0 次点1回
小錦 66勝39敗 0.629 2 0 次点1回
霧島 68勝30敗7休 0.694 4 2 優勝1回、次点1回
貴ノ浪 77勝28敗 0.733 5 0 同点1回、次点1回
千代大海 49勝37敗19休 0.57 2 2  
出島 68勝37敗 0.648 5 0  
武双山 53勝37敗15休 0.584 2 2 次点1回
雅山 54勝51敗 0.514 0 3  
魁皇 62勝26敗17休 0.705 5 2 優勝2回
栃東 44勝27敗34休 0.62 3 3 優勝1回
琴欧洲 64勝41敗 0.609 3 0  
琴光喜 66勝39敗 0.629 4 0 次点1回
把瑠都 68勝37敗 0.648 4 0  
琴奨菊 58勝36敗11休 0.617 3 1  
豪栄道 53勝51敗1休 0.51 0 2  
高安 51勝25敗29休 0.671 2 2 次点2回
栃ノ心 35勝43敗27休 0.467 0 5  
貴景勝 50勝29敗26休 0.633 2 3 次点1回
朝乃山 51勝24敗30休 0.68 5 2 次点2回
正代 55勝40敗10休 0.579 1 2 次点1回

 

休場なく皆勤していれば、70勝に到達している力士が『1場所平均10勝』『勝率0.667』ということになる。

休場数関係なく勝率を導き出しても、いわゆる10勝平均を越えている力士は34名中『9名』に留まる(若嶋津貴ノ浪、栃光、魁皇、霧島、朝乃山、高安、豊山大麒麟)。

そして今回話題に挙げている正代だが、まず白星数は55勝であり歴代22位、勝率は0.579であり歴代27位となっている。

白星数に関しては中の下、勝率に関しては下の上といったところであり、確かにこれでは叩かれても仕方のない結果かもしれない。

しかし正代と同じく勝率5割台の中には、後に優勝2回を果たす貴ノ花千代大海千代大海は合計3回)といったところも存在する。

また北葉山は昇進後2年程は低迷するが、その後は優勝1回を果たし、平均勝率も向上させるし、豪栄道に関しても全勝優勝を果たすことになるため、ここまでの7場所の成績が必ずしも今後に反映されるとは言えない。

そしてこれは以前も記載しているが、そもそも横綱へ昇進する力士は、基本大関をすぐに通過してしまうため、言い方を悪くすれば大関に留まる力士は所詮大関止まりの成績しか残せないということである。

ここでは若嶋津貴ノ浪、栃光、魁皇といった力士は好成績を残しているが、こういった力士は『横綱に届かなかった大関』であり、存在自体は稀とも言える。

後に小錦栃東といった力士もここに該当するだろう。

ちなみに20回以上優勝を果たしている大横綱と称される6名(白鵬大鵬千代の富士朝青龍北の湖貴乃花)の内、白鵬貴乃花以外は皆3~5場所で大関を通過しているが、白鵬は7場所、貴乃花は11場所要している。

これでも十分スピード出世を果たしているが、この両者の7場所の成績は以下の通りである。

  7場所勝敗 勝率 二桁場所数 負け越し場所 備考
白鵬 73勝17敗15休 0.811 5 1 優勝3回、次点1回
貴乃花 82勝23敗 0.781 6 1 優勝2回、同点1回、次点2回

両者とも最高位大関達の記録と比較すると次元が異なっている。

これを見た上でも若嶋津貴ノ浪の白星数、勝率は健闘している方だということがわかる(若嶋津は好成績を残しながらも次点1回に留まるが)。

 

そして今回、正代を酷評している武蔵丸の7場所の成績は以下の通りである。

武蔵丸 84勝21敗 0.8 6 0 優勝1回、同点1回、次点2回

そりゃ正代を酷評したくもなるだろうという程の好成績である。

武蔵丸貴ノ浪大関同時昇進を果たしており、貴ノ浪も十分高水準であるが、さらに一回り上の成績を残している(貴ノ浪が11勝平均、武蔵丸が12勝平均)。

しかし武蔵丸大関在位32場所で横綱昇進を果たしており、これは横綱昇進を果たした力士の中で大関在位最長記録である。

話題がほとんど正代から脱線しているが、正代もこの先どうなるかはわからない。

優勝するかもしれないし、優勝してもその後低迷するかもしれないし、ずっと現状維持かもしれない。

年齢は30歳のため若いとは言えないが、近年の力士は30歳を過ぎてから力を発揮する者も多いため何とも言い難い。

ただ今回の検証で分かったのは、正代が情けないと言われるのは現状仕方ないと言わざるを得ない成績しか残していないこと、そして良くも悪くも正代の力量は『大関を維持するレベル』であり『横綱昇進を求めるレベルではない』ということだ。

豪栄道のように1場所だけ花が咲く可能性もあるため、正代ファンは希望を捨てずに、かと言って過度な期待は寄せず見守るのが最善ではないだろうか。