全勝、1敗力士が白星を伸ばし、2敗力士が全滅。
これで優勝は照ノ富士、貴景勝、阿炎の3名に絞られたと言って良いだろう。
全勝照ノ富士は先場所不覚を取った明生を豪快に投げ捨てた。
明生は立ち合い突き放していき、そこから差して攻めたかっただろうが、照ノ富士はもろ差しを許すことはなかった。
明生がかぶり寄りのようなかたちで寄っていくが、照ノ富士としては左下手を十分に引いていたため、余裕があっただろう。
明生も外掛けにいくが、照ノ富士は物ともせず掛け投げを決めた。
照ノ富士としては自分から攻めることが出来なかったが、守りの強さを発揮した一番となった。
ここまで12日間、照ノ富士を大きく崩したのは大栄翔のみであり、相手の攻めを冷静に対処している。
残り3日間も冷静さを発揮して突っ走るのかどうか。
後続の貴景勝は高安相手に闘志十分の素晴らしい内容で完勝。
高安が立ち合い張り差しを選択し、それに対して貴景勝はイラッときたのか一発張り返したが、その後は冷静に突き放して圧倒した。
決着後も睨み付けるなど珍しい場面もあったが、相撲自体は冷静だったため、残り3日間も迷わず押し相撲を貫いてほしいところである。
そして平幕の阿炎も玉鷲を下して1敗死守。
立ち合いやや立ち遅れ、玉鷲に攻め込まれたが、慌てず引くことなく、逆に攻め返した。
やはり調子が良いからあの場面でも引くことなく、突き放していこうという気持ちになるのだろう。
同格の実力者相手にも昨日のような何をしてくるかわからない曲者相手にも迷わず自分の相撲を取り切っている。
今の阿炎に恐いものなど無いだろう。
一方玉鷲は自分の相撲を取り切ったと言えるだろう。
あそこから攻め返すことが出来た阿炎があまりにも良すぎた。
2敗の御嶽海が遠藤に不覚。
ここで落とす辺り御嶽海らしいのだが、本日に関しては御嶽海云々ではなく、遠藤がめちゃくちゃ良かった。
本当にこれに尽きるだろう。
遠藤は立ち合い珍しく右前ミツではなく左前ミツを狙い、そして左前ミツをがっちり引いた。
これで御嶽海の当たりを止め、その後遠藤は頭をつけ、右前ミツも引き付けて寄り切った。
遠藤の相撲の巧さはもはや現役トップと言っても過言ではないが、本日の相撲を見ても巧さだけではなく強さも感じるし、これで最高位が小結なのだから驚きである。
年齢は30を越えているが、本日の相撲を見るとまだまだ期待したくなるものがある。
一方敗れた御嶽海は、本日に関しては仕方ない。
遠藤があまりにも良すぎた。
問題はここから立て直せるかどうかである。
明日が照ノ富士戦であるため、うかうかしていると二桁白星にも黄信号が灯る。
平幕2敗の北勝富士は宇良の巧さに屈した。
立ち合い相手の様子を見る形で当たっていったが、警戒しすぎて足が出なかった。
昨日の阿炎が宇良との対戦で見せたように、恐がらず足を運ぶことが出来なかった。
その時点で宇良の術中にハマってしまったと言える。
優勝争いとは話が逸れるが、数日前に記載した輝だが、本当にどうにもならない様子である。
幕内で7場所連続負け越しは佐田の海以来2人目の1位タイと不名誉な記録であり、そして以前も記載したが負け方が無様である。
高田川部屋は稽古量が豊富と言われているかもしれないが、それでこの結果ということは稽古方法が悪いということだろう。
押しても弱い、突っ張りも弱い、組んでも弱い、相手の体格に問わず勝てない、それならば何かを特化させて稽古に取り組むしかないだろう。
本当に『幕内最弱』と言っても過言ではない。
打破するためには考える稽古が必要だろう。
明日の注目の割は
『貴景勝ー阿炎』
1敗同士の対戦である。
今場所の阿炎はとにかく攻める姿勢を貫いている。
以前ならばもろ手突きからいなし、叩きが目についていたため、そこを警戒する力士が大半だったが、貴景勝としてはそのような考えで当たっていっては阿炎の突きに後退する可能性が高い。
突っ張りのリーチは阿炎の方が上であるため、貴景勝としてはあまり良いイメージが無いかもしれないが、如何に密着して押していくことが出来るかどうか。
阿炎は強くなって幕内へ復帰した(元々怪我をしての陥落ではないが)。
しかしだからといって大関が先場所まで十両だった力士に負けるわけにはいかない。
どちらが自分の相撲を貫けるか。
楽しみな一番である。
割に関しても正代、貴景勝は照ノ富士と組まれる際、番付通りにするのか、それとも貴景勝を千秋楽に持っていくのか。
これに関しては展開次第で盛り上がりも異なるだろう。
ここまで来たら3日間全て取り組みが終了してから割を組むようにしたら良いと思うが、まぁそんなことはしないだろうな。
いずれにしても残り3日間。
照ノ富士についていくのは貴景勝か阿炎か。
目が離せない。