序盤戦最終日の5日目。
北勝富士、豊昇龍と昨日の取り組み後を見る限り特に問題無さそうだった2名が休場。
休場理由はそれぞれ怪我と熱発で異なるが、2番連続で不戦勝の垂れ幕を見るのは珍しい光景だった。
さて本日の取り組みに目を向けよう。
とはいえ霧馬山はかなり善戦した。
というよりも勝機は十分にあったが掴むことが出来なかったというべきか。
立ち合い照ノ富士が左前ミツというよりは右差しに来るところ、霧馬山は右手を出して左おっつけにいった。
そのままうまく左から攻めていき、一旦体が開いたところで頭をつけて右前ミツを引く絶好の形を作った。
霧馬山はここで出し投げを打って横につくなど動かなければならなかったが、その動きが見られなかった。
照ノ富士は左四つでも下手さえ引けば守りの強さを発揮するため、霧馬山としては動くことが出来なかったのかもしれないが、勝機を見出だすためにはあの場面が最大のチャンスだった。
最後は巻きかえてもろ差しになったが、胸を合わせて上手も許していたため、逆に苦しい形となってしまい寄り切られてしまった。
上記の通り勝機はあった。
むしろ勿体ないと思う程である。
照ノ富士の我慢勝ちなのか霧馬山の経験不足から来るものなのかは不明だが、照ノ富士は新横綱の場所で序盤戦無傷とした。
照ノ富士としては不利な体勢でも慌てず冷静に取ったということは良いかもしれないが、長い相撲を取ったことで膝に影響を及ぼすのかどうかという問題がある。
そしてここ数日思うのが、照ノ富士の強さが際立つことに間違いないのだが、相手もしっかり研究はしているということである。
中盤戦以降、疲労も徐々に蓄積するだろうから照ノ富士としても油断ならないだろう。
大関陣に目を向けると、正代は立ち合いの踏み込み、圧力で苦手若隆景を圧倒した。
タイミングが良かったのか、正代のかち上げがカウンター気味に入ってしまったか若隆景の腰が砕けてしまった。
いずれにせよ正代の当たりが素晴らしかったことに間違いない。
苦手相手にこの相撲は気分も良いだろう。
久々に正代もエンジンがかかってきたか。
立ち合いしっかり当たり、突き放して相手が引いたところについていく。
正直今場所はこの相撲を見ることが出来ず終わるのではないだろうかという思いもあったため驚いている。
琴ノ若は的が大きく、照ノ富士や逸ノ城のように腰が重たい訳でもないため、比較的押しやすいこともあったか。
この2日間、若手相手に意地を見せて連勝とし、このまま流れに乗ることが出来るかどうか。
本当の勝負は中盤戦以降である。
関脇に目を向けると、御嶽海が1敗で序盤戦を終えた。
本日はお得意様の玉鷲ということもあり、自信を持って臨んでいる様子だった。
番付は関脇でも地力では正代、貴景勝の2大関よりも上と言える存在であるため、序盤戦のような相撲を取っていれば面白いが、如何せん15日間総合しての力量は不安定であるため信用ならない。
私が御嶽海に期待を寄せるのはこのまま星の差1つで照ノ富士と直接対決を迎えるまでは来ないと思われる。
明生は逸ノ城に敗れ序盤戦黒星先行。
立ち合いの踏み込みは悪くないのだが、逸ノ城を後退させることが出来ず、いなしたところで再度攻めるも、足が出ていかなかった。
序盤戦白星先行で終えたいところだっただろうが、残念な結果である。
一方逸ノ城がやはり場所前不幸もあり、稽古不足の影響もあるのか序盤戦は苦戦している。
それでも2勝は挙げているため、この先巻き返しを期待したい。
力さえ出し切れば、正代にとっては嫌な存在になるだろう。
平幕下位に目を向けると、毎場所のように記載しているが、栃ノ心の相撲内容が気掛かりである。
とにかく脆い。
本日もあの程度の叩きについていけないし、ここ数場所は得意の右四つに組んでも勝てないことが増えている。
照ノ富士の復活劇の影に隠れがちだが、栃ノ心も大怪我かで番付を大きく下げ、その後優勝&大関を手にした復活を果たしている。
その後も怪我に泣かされ、大関陥落以降は精彩を欠いたままであり、前頭二桁でこの成績なのだから寂しい思いが強い。
下半身にまるで力が入っていないが、もう一度強い栃ノ心を見たいところである。
明日の注目の割は
『照ノ富士ー若隆景』
この一番である。
正直若隆景の高い相撲技術を持ってもそれを上回る圧倒的なパワーに屈してしまう姿しか思い浮かばないが、それでも若隆景には期待したくなる。
前ミツで食い下がるかそれともおっつけから勝機を見出だすのか。
前ミツを引いても照ノ富士の場合、本日の相撲内容のように下手さえ引けば守りの強さを発揮するため攻略が難しく、おっつけても引っ張り込まれてしまう可能性が高い。
過去にも善戦しているが勝てないのはこのような背景があるからだろう(若隆景の1勝は不戦勝)。
一方照ノ富士は長い相撲を取った翌日に相撲巧者と当たることでどのような影響を及ぼすのか。
明日から中盤戦へ突入する。
優勝争いが盛り上がるためには正代、御嶽海の活躍に懸かっていると言っても過言ではないがはてさて…