きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

373. 2021年名古屋場所千秋楽を勝手に語る

まさに不死鳥のごとく復活を遂げた。

白鵬が6場所連続休場明けから千秋楽全勝相星決戦を制し、見事15戦全勝で復活を果たして幕を閉じた2021年名古屋場所

誰がこの結末を予想していただろうか。
場所前の展望にて私は『序盤戦無傷ならば白鵬優勝』と予想していたが、全勝の予想は全くしておらず、ましてや序盤戦もどこかで躓く可能性が高いと思っていた。

しかし躓く場面はありながらも白星へと結び付けていく。
長期休場明けでも抜群の対応力は健在であった。

そして引き出しの多さもこれまた群を抜いている。
張り差し、かち上げは元より、14日目の立ち合いも批判されているが、勝利への執念に関しては歴代のどの力士よりも持ち合わせていたということではないだろうか。

結果として今場所、その執念と研究心に太刀打ち出来る力士が存在しなかったということである。

今場所の成績で忘れがちだが、白鵬自身も優勝インタビューで語っていたように白鵬の身体はボロボロである。

36歳で膝にメスを入れているのだから。

『そこまでして勝ちたいか』という声も挙がっているが、これに関しては考え方の相違だろう。

結果を出さなければ叩かれる。
結果を出しても内容面で叩かれる。
自分の相撲が取れなくなった時点で引退すれば良い。

このような考え方も多いが、結果として白鵬を誰も止めることが出来ないという事が最大の事実である。

白鵬を止めるには白鵬を倒すしかない。
それがわかった場所でもあるだろう。

さて本日の千秋楽全勝相星決戦に目を向けよう。

まず仕切りの段階から白鵬は作戦を実行していたようである。

制限時間いっぱいから中々腰を下ろさず、先に照ノ富士が手をつくのを待っていたのだろう。

照ノ富士も膝に爆弾を抱えているため、少しでも自分優位に立とうとしたか。

それを照ノ富士も察したのか応じることはなく、腰を下ろさぬまま待ったに近い形となった。

これに関しては照ノ富士もさすがである。
今場所の照ノ富士は冷静さを持ち合わせているため、ここでも冷静さを発揮した場面となった。

しかし結局2回目も腰を下ろしたとはいえ、照ノ富士に手をつかせることには成功した。

そして立ち合いはふわりと立ち、白鵬が左手を出して右かち上げをかました。

しかしかち上げを命中させたが照ノ富士も全く怯まず、むしろ照ノ富士が左前ミツを引いて絶好の形を作った。

それでも白鵬がすぐに体を開いて廻しを切り、次は張り手戦法に出た。

前日の正代戦のように張り手というよりは『ビンタ』に近い形だった。

これに照ノ富士がムキになってやり返すように大振りの張り手をみせたが、すかさず白鵬が右四つに組み、白鵬が左上手十分、照ノ富士には上手を許さない形を作った。

ここまでの一連の流れが、この形を作るための作戦だったのか。

上手投げを打った際に上手は切れてしまったが、間髪いれずに小手投げで仕留めた。

そして勝負が決まった瞬間、歓喜の雄叫びとガッツポーズ。

これらの行為に関しては褒められたものではないが、今場所への懸ける思いが伝わる表情、動作でもあった。

昨日同様、なりふり構わずという言葉がぴったりな内容である。

そして何一つとして余裕などなかった。

並の力士ならば照ノ富士に前ミツを引かれた瞬間勝負ありだが、この力士は執念で跳ね除けてしまった。

今場所の照ノ富士は力強さと冷静さを武器にここまで白星を積み重ねてきた。

しかし白鵬という力士はその冷静さを失わせる相撲を取ったのである。

隙のない照ノ富士の僅かな隙をついて、見事勝利に結び付けた。

上記の通りこの力士の勝利への執念は桁違い、段違いである。

はっきり言って今場所の相撲内容の充実度及び『どちらが強いか』という問いに関しては大半が照ノ富士と答えるだろう。

しかし千秋楽全勝相星決戦を制したのは白鵬である。

この一番だけで格付けされるものではないが、優勝したのはしつこいようだが白鵬である。

あの照ノ富士でさえ敗れてしまった。
正直かなりショッキングな出来事とも言える。

とはいえ上記の通りこの一番だけで照ノ富士の評価が落ちるわけでない。

今場所の照ノ富士は本当に素晴らしかった。
14日間で危ないと思わせる相撲は大栄翔戦のみといっても過言でないレベルであり、何度も記載しているが力強さと冷静さが噛み合って、まさに『照ノ富士時代』を築こうかという程の充実ぶりだった。

ここ1年で3回の優勝を果たしているが、優勝を果たしているどの場所よりも今場所は強かった。

それが結果としても現れており、14勝は自己最多の白星数である。

しかし勝負というものはわからない。
今場所は運がなかった。
それだけ白鵬の執念が凄まじかった。

そして余談だが、照ノ富士は13勝以上の白星による優勝には中々縁がないということか(以前も記載したが4回中3回が12勝の優勝)。

来場所の横綱昇進は確定であるため、胸を張って来場所以降、横綱として活躍を期待したいところである。

再び白鵬の話題に戻るが、年齢から考えて今後も進退問題とは切っても切れない問題となるだろう。

もしかしたら来場所は序盤で黒星を喫して、休場となる可能性もある。

しかしそれはそれだ。
むしろそれが本来あるべき姿なのかもしれない。

周りの力士は現状置かれている状況を深く反省するべきである。

長期休場かつ膝にメスを入れた力士に全勝優勝を許すなど恥だと思った方が良い。

上記の通り白鵬を止めるには白鵬を倒すしかないのである。

『自分はまだ出来る』と思っている間は白鵬が止まることはないだろう。

休場明けの横綱を叩き潰す。
白鵬以上の勝利への執念を持ち合わせない限り、白鵬時代が終わることはない。

他にも語りたいことは山のようにあるが、本日、いや今場所は白鵬照ノ富士を語れば十分だろう。

思えば初日も白鵬のことしか記載していなかった。
今場所は白鵬照ノ富士の場所だったということだ。

白鵬優勝おめでとう。
照ノ富士横綱昇進おめでとう。
そして千秋楽全勝相星決戦を実現させ、熱戦を繰り広げた両雄を心から祝福したい。
そして心から感謝している。

今後も2横綱の活躍に目が離せない。