大相撲夏場所が明日から初日を迎える。
新型コロナウイルスの問題は予てより、先日記載した土俵上の怪我における迅速な対応など問題は山積みである。
このような状態で場所を迎えて本当に大丈夫なのかと不安になるし、そして25年以上相撲観戦してきて今場所ほど楽しみより不安が勝る場所は過去にない。
それでも場所が開幕すると決定した以上は出場する力士達を全力で応援したい。
まず一人横綱となった白鵬は初日から休場のため、今場所も横綱不在である。
ニュースなどで苦言を呈している人も多いが、これに関しては先場所の時点でわかっていたことだから今更どうこう言うつもりもない。
『来場所(7月場所)に進退を懸ける』
この言葉を信じて待つしかないだろう。
場所の焦点となるのが3年半ぶりに大関復帰を果たした照ノ富士だろう。
思えば昨年の夏場所は中止であったが、番付上は幕内へ復帰したばかりであった。
そこからわずか5場所で大関復帰を果たし、さらには優勝も2回果たしており、横綱の休場も相まって『現役最強力士』との呼び声も高いが、今場所に限って言えば厳しい状況になるのではないかと予想している。
多からず少なからず大関へ復帰したことへの安堵感、気の緩みは生じるだろうし、膝への負担は変わらず懸念材料である。
そして対戦相手も先場所以上にマークするだろうから苦戦を強いられるのではないだろうか。
とにもかくにも強引に引っ張り込むような相撲は避けたいところである。
先場所も前半戦はその相撲が目立っており、格下相手に取りこぼす場面が目立っていた。
序盤戦で波に乗ることが出来るかどうか。
残りの3大関だが、私個人としては爆発力といった意味では貴景勝に一番期待を寄せている。
先場所17kgの減量を果たし、膝への負担は軽減した様子である。
動きも決して悪くなかったため、現在の体重と動きがさらに噛み合い、白星を積み重ねていけば面白くなるかもしれない。
とはいえこの力士は序盤戦で取りこぼす事が多いため、過度な期待はしないでおこう。
朝乃山は良くも悪くも10勝程度の成績に落ち着く印象しかない。
如何せん爆発力とは無縁の力士である。
大関昇進以降、途中休場した場所を除き全て二桁勝利を挙げており、安定感は歴代でも1、2を争うが、幕内でいまだ13勝以上の白星を挙げたことがない。
序盤戦で取りこぼさないことはもちろんのこと、初顔合わせから5戦5敗の照ノ富士への対策は出来ているかどうか。
結局朝乃山の成長に関しては照ノ富士戦を見ない限り不明とも言える。
さらに上の番付を狙うためには越えなければならない壁である。
先場所皆勤負け越しとなった正代は大関4場所目にして早くも2回目の角番である。
先場所はとにかく立ち合いが悪かった。
大関昇進を果たした原動力は立ち合いの踏み込み、圧力だった。
これを思い出さない限り今場所も苦戦を強いられることになるだろう。
逆に立ち合いがうまくハマれば爆発力を秘めた力士でもある。
三役に目を向けると高安、隆の勝、御嶽海、大栄翔と照ノ富士を除けば先場所と顔触れは変わらず。
全員実力者であるため楽しみである。
高安は先場所終盤戦は目も当てられない程崩壊していたが、それでも最低限の二桁には乗せていたため今場所も二桁勝って大関への足固めとしたいところである。
照ノ富士が大関復帰を果たし、自分も続くという気持ちを持ってほしいところである。
どっしり構えつつも攻める姿勢を見せてほしいところである。
隆の勝は新三役かつ新関脇から3場所連続勝ち越しを果たしているが、二桁には中々届かない状況である。
立ち合いで立ち遅れる場面も目立つため、それを修正できているかどうか。
取りこぼしも多いように感じるため、出来るだけ取りこぼしを避けたいところである。
御嶽海は期待するだけ無駄か。
100%の力を発揮したときは照ノ富士と同等、残りの3大関以上だと思うが、如何せん15日間総合しての力量は不足している。
そして近年はここ一番の強さにも陰りが見え始めている。
何だかんだで勝ち越す力量を持ち合わせているが、若手とも呼べる年齢ではなくなっているため、うかうかしていると三役維持すら厳しくなるだろう。
大栄翔は初場所のような爆発力を秘めているため、展開次第では面白い存在である。
初日の対戦相手が朝乃山であるため、好スタートを切ることが出来るかどうか。
前頭上位に目を向けると、先場所同様若隆景、明生は場所を盛り上げる存在となりそうである。
両者ともに先場所は良さを十分に発揮して二桁の成績を残した。
今場所もキレのある動きを見せられるかどうか。
そして豊昇龍が自己最高位の東前頭5枚目まで番付を上げた。
番付からぎりぎり上位圏外だが、碧山の休場に伴い、上位圏内の番付となった。
元々期待していた力士だが、上位と当たる姿を早く見たいところである。
優勝予想だが、正直今場所は断言できない。
逃げるような選択肢だが『照ノ富士と朝乃山以外の誰か』と予想しておこう。
とにもかくにも無事に15日間乗りきってほしいところである。