きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

324. 照ノ富士を語る

先日照ノ富士大関復帰&優勝で幕を閉じた大相撲春場所

大関から序二段まで陥落したが、見事に復活を果たした歴史的な快挙であり、本当に喜ばしい出来事である。

照ノ富士が上位へ定着し始めたのは平成26年後半辺りからである。

平成27年春場所に関脇へ昇進し、この場所に白鵬を下して13勝の次点成績を挙げ、ここから一気に大関候補へ名乗りを上げた。

翌場所は12勝3敗で初優勝を果たし、2場所前が平幕で8勝ながら勢いを買われて一気に大関昇進を果たした。

初土俵から25場所での初優勝は歴代3位、また大関昇進は歴代4位のスピード昇進だった(幕下付け出しを除く)。

また三役在位2場所、小結経験なしでの大関昇進は年6場所制となった昭和33年以降、史上初の快挙だった(ちなみにこの記録は現在も照ノ富士のみである)。

当時照ノ富士横綱昇進は時間の問題と思われており、白鵬の次世代を担う力士と期待を寄せられていた。

しかしこの当時、私は正直照ノ富士の事がかなり嫌いだった。

人間として嫌いとかではなく、理由は相撲内容にある。
身体の大きさに任せた抱え込む強引な相撲、下手を引いて守り主体の相撲内容だったため、相撲内容を改善させない限り、いずれ必ず膝に怪我をすると思っていたからである。

そしてその不安は的中し、大関2場所目の平成27年秋場所稀勢の里戦で膝を負傷した。

この時私は『それ見たことか』と思っていた。

ここから照ノ富士は低迷し、翌年の平成28年の成績は
初場所:3勝3敗9休
春場所:8勝7敗
夏場所:2勝13敗
名古屋場所:8勝7敗
秋場所:4勝11敗
九州場所:8勝7敗
年間33勝48敗9休と大関とは思えぬ成績を残し、膝の治療に専念するべきだと考えていた。

だましだまし相撲を取り続け、平成29年春場所には13勝の好成績を果たしたものの、この場所も内容に関しては強引な相撲も多く、終盤戦は膝が悲鳴を上げてしまい、同じく負傷していた新横綱稀勢の里に大逆転優勝を許してしまった。

翌場所も12勝の次点成績を残したが、この時点でも私は『こんな相撲では長くは続かない』と感じていた。

そして案の定、名古屋場所秋場所と連続休場により、大関陥落が決定した。
さらには膝の怪我だけではなく、糖尿病も患っていた。

そしてその後私は照ノ富士の事をますます嫌いになった。

その理由は『言動と行動の矛盾』にある。

特例復帰場所は1勝も出来ず途中休場、翌場所平幕へ陥落し、その場所も初日から連敗して途中休場。

そしてこの時照ノ富士は『大関から落ちたらどこまで落ちても同じ』という旨の発言をした。

そのため本人の中で長期休場になっても治療に専念するという選択肢を選んだということだと思いきや、この場所でまさかの再出場をしてきた。

再出場を果たしたからにはある程度相撲になるのかと思いきや全く相撲にならず、ただ土俵に上がってあっさり土俵を割るという何のために出場しているのか理解不能なレベルだった。

これに関しては再出場を認めた親方にも問題があると思っていた。

相撲にもならない状態で何をどう間違ったら再出場しようと思ったのか?

大関から落ちたらどこまで落ちても同じ』という考えを持つならばなぜ治療に専念せず、無意味な出場をするのか?

この時の照ノ富士の相撲を見て私と同じ考えを持った方は多く存在しただろう。

そして十両へ陥落した後も同じことを繰り返した。
私はこの時点で『みっともないから早く辞めろ』と感じていた。

仮にも大相撲の看板を背負う大関に在位していたならば、こんな醜態を晒してほしくないという気持ちが強かった。

そして平成30年名古屋場所平成31年初場所まで4場所連続全休となり、序二段まで番付を下降させた。

平成31年春場所、ここから5場所連続勝ち越しで関取復帰を果たし、関取へ復帰して早々、十両優勝を果たし、翌場所も10勝を挙げて令和2年名古屋場所に幕内復帰を果たした。

この時の照ノ富士の相撲内容を見ると、強引な相撲はだいぶ軽減されたが、絶対的な強さにはまだ程遠いと感じていた。

幕尻レベルならば10勝は出来るだろうと思っていたが、11日目には早々10勝目に到達し、1敗のまま13日目へ突入した。

13日目の対戦相手は同じく1敗でこの場所新大関の朝乃山であった。

この時多くのファンが『照ノ富士がどこまでやれるのか』という興味・関心が強く、照ノ富士が勝つと予想していた人は少なかったと思う。

朝乃山が新大関優勝へまっしぐらというような空気も漂っていたが、蓋を開けてみれば照ノ富士の圧勝。
結局幕内へ復帰して早々、幕内優勝を果たし、劇的な復活を果たした。

朝乃山戦を見て本当にこの力士は変わったのだと感じた。
そして私はこの場所で照ノ富士に対する考え方を改めた。

並大抵の努力では成し得ることは出来なかっただろう。
誰よりもどん底を味わい、誰よりも努力しただろう。

どん底を味わいながらも自分を見つめ直し、相撲内容を改善させて見事に復活を果たした。

照ノ富士本人にとっては大関復帰は通過点だろう。
いまや現役ナンバーワンの実力者と言っても過言ではない。

膝の怪我とは常に隣り合わせだろうが、本物の強さを手に入れたことで今度こそ横綱昇進を目指してほしいところである。

おめでとう照ノ富士
そして頑張れ照ノ富士
今後の活躍にも期待である。