中日折り返しの大相撲春場所。
『照ノ富士ー高安』という今場所の優勝争いを大きく左右する一番は高安が制し、1敗単独トップに立った。
照ノ富士としては『最大の関門』とも言える高安戦だったが、今場所もこの関門を突破することはできなかった。
昨日まで2敗だった力士も全滅し、高安にとってはかなり追い風となる展開となった。
さて注目の一番を振り返るが、照ノ富士は先場所同様立ち合い頭で当たりにいった。
照ノ富士としては頭で当たって突き放して先手を取りたかったのだろうが、高安はほとんど下がることなく、下から跳ね上げてもろ差しの形を作ることに成功した。
正直高安のもろ差しは全くもって予想していなかったが、体の寄せ方もうまく、照ノ富士の小手投げをうまく封じて攻め切った。
やはり照ノ富士にとっては相当苦手意識があるのか。
そして一方で高安としては自信を持って相撲を取っている様子であり、照ノ富士がどのような攻め方で来ても対応できる自信があったのだろう。
これで高安は単独トップに立ち、初優勝に向けて良い展開となったが、まだ正代、貴景勝との大関戦、関脇隆の勝、そして平幕では高安にとって驚異となる北勝富士、阿武咲との対戦が残されている。
今場所あまり星の挙がっていない大関2名とはいえ、両大関相手に2年間勝利がなく、正代には7連敗、貴景勝には4連敗を喫しているため油断はできない。
まだ場所は半分も残されているため、高安にとっては気を緩められる日など存在しないだろう。
そして照ノ富士だが、優勝争いを考慮すると2敗は十分圏内であるとはいえ、ターニングポイントとなる一番を落としたのがどのように響くだろうか。
今場所は大関復帰に向けて10勝が一つの基準だとは思うが、これに関しては余程のことがなければ問題ないだろう。
しかし優勝争いを考慮すると、照ノ富士の膝への負担がどうか気掛かりである。
もはやこの力士の場合、実力面の問題ではなく、身体面の問題がこの先も影響を及ぼすだろう。
照ノ富士の気力が試される後半戦になるのではないだろうか。
大関陣に目を向けると、前半戦で2敗力士すら消滅する結果となった。
昨日痛手となる2敗目を喫した朝乃山だが、本日も大栄翔相手に良いところなく完敗。
豪快に押し倒される屈辱的な負け方だった。
立ち合いも高いし、右差しばかりに気が向いているためか踏み込みも悪い。
5日目、6日目と立ち直ったかのように見えたが、昨日の敗戦で集中力が切れてしまったか。
序盤戦の中身のない相撲をモノにしてきたのも自らふいにしてしまった。
貴景勝はお得意様妙義龍に危なげない相撲で白星。
過去11戦全勝の相手に様子を見ながら突き放していく内容だった。
昨日もそうだったが、馬力に欠ける内容であるが、連敗しないのが何よりか。
3日目の黒星以降、連勝できていないため、何とか連勝して早く角番脱出を果たしたいところ。
正代は本日も立ち合いは踏み込めず、苦戦を強いられる内容だったが、連勝で星を五分に戻した。
結局前半戦、正代らしい相撲は一番もなかったと言っても過言でないが、後半戦役力士相手にこの相撲内容でどこまで通じるのか。
関脇隆の勝が明生に良いところなく完敗。
攻めの姿勢は素晴らしいが、やはり今場所立ち合いの立ち遅れが目立っている。
上位と割が組まれるまでは1敗を守って欲しかったが、痛手となる連敗である。
一方この2日間、明生の相撲が素晴らしい。
立ち合いの踏み込み良く、突き押しの威力も十分であり、元より左差しからの攻めも素晴らしい。
久々の上位戦だが、2大関に勝利して前半戦5勝3敗と上々な結果だろう。
後半戦は同格力士との対戦が続くが、そこで勝ち切れるかどうか。
明日の注目の割は
『高安ー阿武咲』
この一番である。
上記に記載したが、高安にとって鬼門となる平幕力士の1人と言える。
過去の対戦成績は2勝3敗と負け越しており、一直線に押し負ける展開も多い一番である。
高安は基本立ち合い腰高であるため、阿武咲にとっては押しやすいのだろうが、高安としては如何にして阿武咲の当たりを止めることが出来るかどうか。
本日で高安にとって追い風となる展開となったが、ここで平幕相手に落とすわけにはいかない。
明日から後半戦だが、このまま高安が突っ走るとも考えにくい。
優勝ラインは2敗だと思うが、展開次第では3敗まで下がることになるか。
いずれにせよ本日の結果を踏まえても私は本命照ノ富士、次点で高安と予想する。
後半戦も目が離せない。