きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

295. 2021年初場所千秋楽を勝手に語る

迷いなき最高の相撲。
自分の相撲を取り切って大栄翔が初優勝を決めた2021年大相撲初場所

埼玉県出身の優勝は初、さらには追手風部屋の力士の優勝も初となった。

立ち合いの当たり、その後の腕もよく伸び、的確に相手を突く。

今場所の大栄翔を象徴する内容だった。
今場所の大栄翔はとにかく強かった。

何度か記載しているが、意外な力士が優勝するときは、実力以上の力を発揮する、神がかったような力を発揮することが多い。

12日目の明生戦はそれに近いものはあったが、残りの14日間は負けた相撲も含め、自分の相撲を取り切り、さらには強さを発揮していた。

自分の相撲を取り切って3大関を下し、その後も好調の関脇・小結が力を出し切っても、それ以上の力を発揮して次々となぎ倒していった。

2年ほど前から上位圏内で7~8勝の成績を繰り返し、時には上位陣に勝つなど存在感を示していた。

とはいえ私個人の大栄翔の印象は、ノーマークには出来ないが出世争い、優勝争いには縁のない力士だと思っていた。

そのため今場所も役力士を総なめにし、初日から8連勝して一時期星2つの差をつけても、大栄翔が優勝する姿があまり浮かばなかった。

後半戦固さがみられたが、終盤戦の相撲は再度強さを取り戻し、今場所の実力は決してまぐれではないことを証明した。

上位総当たりの地位で13勝による優勝。
何一つ文句のない立派な優勝である。

元々ノーマークには出来ない存在だったが、来場所以降対戦相手もさらに研究してくるだろう。

今後の課題は立ち合いの当たり、その後の突き押しが通用しなかった時の対応だろう。

現状は良くも悪くも突き押ししかない。
ある程度四つ相撲を取れるように幅を広げるか、それとも長所である突き押しをさらに磨いていくのか。

来場所以降の大栄翔に注目である。

場所前私が優勝候補筆頭に挙げていた照ノ富士は11勝で場所を終えた。

前半戦は3勝3敗のヌケヌケだったが、その後は昨日のような勝利への執念もみせて来場所に繋がる二桁に乗せた。

技能賞に関してはそこまで不満はないが、もはや照ノ富士三賞というのが違和感である。

実力は現役3大関よりも上であり、問題は自分自身との戦いとも言える。

膝に爆弾を抱えている状態であるため、今後も可能な限り強引な相撲は避けたいところである。

とはいえ昨日の正代戦をみると、リミッターを解除すればどこまで強いのかという興味もある。

もちろんあんな相撲を15日間も取り続けるのは不可能に近いのだが。

来場所11勝以上ならば間違いなく大関へ復帰できると思うが、是非とも復帰してほしいところである。

そして場所前優勝争いを争うキーマンになると予想していた高安だが、だいぶ戻ってきたという声もあがっているが、15日間総合してみるともったいない取り組みも多かった。

高安の基本的な相撲内容は立ち合い体当たりから突き放す相撲、もしくは左四つに組んでの相撲である。

今場所は自ら右を差しにいったり、立ち合いもふわっと立つことが見受けられた。

色々試しているのかもしれないが、いずれにしろ突き放すか左四つに組むか立ち合いの明確化は必要だろう。

確かに右四つに組んでも上手を引けば力を発揮するが、はじめから右四つ狙いで相撲を取るのは如何なものかと思う。

あくまで高安の魅力は立ち合いの当たりの強さ及び左四つの相撲である。

照ノ富士戦などをみても9勝で終わる力量ではないと思うのだが。
まだまだ気を吐いてほしいところである。

大関陣に目を向けると、まず今場所最大の焦点だった貴景勝だが、貴景勝にとっては屈辱的な場所となった。

初日から泥沼の連敗を喫し、得意の突き押しが通用しない、立ち合いにも迷いが生じる、消極的な相撲になる、とにかく負の連鎖、悪循環だった。

綱取りが一転来場所は角番となるが、自分の相撲を取り戻すことが出来るかどうか。

朝乃山は良くも悪くも変わらずといったところか。

前半戦波に乗りきれない中、終わってみれば11勝を挙げている辺り二桁勝つ安定感はさすがといったところだが、成長は何一つ感じられなかったというのが正直なところ。

何度も記載しているが、照ノ富士戦をみてもわかる通り『右四つの完成度は低い』のである。

12日目にも記載したが、今場所の照ノ富士戦は本当に酷かった。

工夫が何一つないし、場所全体を見てもそうだが上手にもっと拘るべきである。

確かに廻しに拘らず攻める姿勢は素晴らしい。

しかし攻めながら上手を引く、さらに言えば左前ミツ浅い位置を引く技術がこの先上を狙うならば確実に必要となるだろう。

目先の1勝だけを求めるならば左に変化して上手を引くといった手もあるだろうが、それだと絶対的な強さに繋がることはない。

上手の取り方に工夫を凝らし、その上で照ノ富士に勝つことでその先が見えてくるだろう。

朝乃山に足りないものは『爆発力』である。
二桁勝つ安定感があっても、いまだ幕内で13勝以上の成績を残したことがない。
とにかく稽古あるのみだ。

大関2場所目にして早くも角番だった正代は、千秋楽まで優勝争いをする活躍を見せた。

とはいえ終盤戦はギリギリの相撲をモノにするといった展開が大半だった。

成績は及第点だが、内容面で言えばまだまだといったところか。

立ち合いの踏み込み、圧力は申し分ないが、今後の課題は当たりを止められた後の対応だろう。

以前にも記載しているが、立ち合いで圧倒するか、もろ差しが主体であり、四つに組んでの相撲はほとんどない。

止まった後、胸を合わせて上手を引いて攻めるという相撲も覚えていけば相撲の幅は広がり、安定感も増すと思うのだが。

立ち合いの顎が上がる癖に関しては修正不可能だし、修正する気もないだろう。

今場所は大関としての経験値がほぼない中、さらには角番で重圧のかかる中では比較的良好と言える結果だろう。
来場所以降の活躍に期待である。

関脇隆の勝に目を向けると、9勝して地力がついていることは間違いないのだが、もっと勝てたのではないかという不満もある。

突き放してから右を差して攻めるという形が板についてきたが、立ち合い立ち遅れる場面が多いように感じた。

やはり立ち合いでもっと先手を取って攻め込むことが、今後二桁を目指す上で必要となるだろう。

足腰の強さはあり、魅力も十分であるため、さらに上を目指してほしいところである。

平幕に目を向けると、今場所の栃ノ心は本当に酷かった。

成績で言えば栃ノ心以下の力士はいるのだが、内容面だけを考慮するならば一番酷かったのではないかと思わせるレベルである。

膝の状態が思わしくないのもあるのだろうが、上半身でしか相撲を取っていない様子である。

あの取り口では得意の左上手を引いて力を発揮させることなど出来ないだろう。

とにかく下半身に力が入っておらず、粘り腰も全くない。

大怪我から復活し、優勝&大関昇進を果たした苦労人であるが、その時の強さはまるで感じさせない。

いまやその名誉は照ノ富士に譲っている形である。

本来の力さえ発揮すればしっかりとした右四つの形も持っているため、それこそ朝乃山よりも上だと思っている。

怪我の完治は難しいかもしれないが、強い栃ノ心の姿をもう一度見てみたい。

明生が11日目に勝ち越しを決めた後、上位戦に抜擢されたため、終わってみれば8勝止まりだった。

だいぶ相撲は戻ってきた様子であり、今場所は二桁を期待したが、仕方ないと言えば仕方ないか。

とはいえ大栄翔戦ではあと一歩のところまで攻め込み、朝乃山、照ノ富士に対しても立ち合いで当たり負けず、さらには喧嘩四つの両者に対して左を差すことにも成功した。

それだけでも十分手応えはあったのではないだろうか。

その後の攻め方等に関しては今後の課題だろう。
8勝止まりだが、来場所は上位圏内まで番付を戻す可能性もあるため、稽古に精進してほしいところである。

期待の若手である琴勝峰は2勝13敗の大敗を喫した。

何日か前にも記載したため少し割愛するが、気になる点は終盤戦に割が組まれた下位に対しても相撲になっていないところである。

上位戦ではまだ力量不足ということで話がつくのだが、天空海佐田の海相手にもまるで相撲になっていないことが気になった。

11連敗を喫したことで完全に集中力が切れてしまったということもあるだろうが、この辺りの力士達に対しては確実に白星を掴み取るところが見たかった(佐田の海には勝ったが辛勝だった)。

やはり立ち合いの圧力を増すこと、絶対的な型を身に付けるが重要だろう。

まだまだ若いため腐らず稽古に精進してほしいところである。

三賞に目を向けると、昨日の予想と概ね同様の結果だった。

照ノ富士の技能賞が意外だったというところか。

特に不満はないと言えばないのだが、今場所は大栄翔一色だったため、その他の力士の活躍が目立たなかった印象である。

初日から3日間だけならば、阿武咲が大栄翔以上に良いと感じさせたのだが、終わってみれば9勝止まりだった。

11勝くらいならば三賞を受賞したと思われるが残念である。

翠富士に関してはある意味予想通りだったが(私の予想では条件なしだった)、これが上位で通用するならば本物の技能相撲だと思う。

場所の途中からでも翠富士の肩透かしは代名詞になっていたが、その警戒された中でも決めるのだから素晴らしい。

来場所以降さらに警戒されるだろうが、それを掻い潜り必殺技を炸裂させるかどうか注目である。

無事と言えるかどうかは何とも言い難いが、今場所15日間終えたことに関しては本当に良かったと思っている。

大変なご時世の中、休場力士が多数存在したが、その中でも今場所は熱戦が多かった。

熱戦を繰り広げた力士達には本当に感謝の気持ちでいっぱいである。

場所前は『開催するメリットがない』という発言が聞かれたほどだったが、私個人としては相撲観戦出来たこと自体が幸せなことだし、さらに数多くの熱戦を目にして、開催は間違いではなかったと思っている。

来場所以降も厳しい場所が続くだろうし、もしくは開催中止という可能性も大いにあるだろうが、体調管理にはくれぐれも用心していただきたいと思っている。

相撲ファンの皆様もお疲れ様でした。
最後になるが、大栄翔本当におめでとう!

さて明日から退屈になるものだ…