きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

270. 横綱に関する私案(中編)

昨日横綱の引き際に関して記載した。

しかしこれに関して私は『個人的な感情』も含むことが多く、時代背景も大きく関与するため、判断は中々難しいという見解である。

そしてこの先、白鵬鶴竜の両横綱が引退した場合、新横綱を求めるがために『横綱昇進』に関する問題も浮上するだろう。

簡単に昇進させてしまえば、その力士の寿命を縮めるだけになるかもしれない。

大関昇進と異なり、横綱昇進の基準は一応存在する(大関昇進の『3場所33勝』は協会の規定ではない)。

その内容は『大関で2場所連続優勝またはそれに準ずる成績』であり、議論となるのが『準ずる成績』である。

極論を言えば『13勝(優勝)→11勝(次点)』でも規定を満たしているわけだが、この成績で横綱に推挙されることは間違いなくないだろう。

横綱昇進に関して不運な形で昇進を見送られた力士の代表例は『旭富士』『貴乃花』『白鵬』の3名だろう。

3名ともに最終的には横綱へ昇進したが、それ以前の昇進場所で泣かされる形となった。

旭富士は『14勝(同点)→13勝(次点)→13勝(同点)』と優勝は果たしていないが、3場所合計40勝は当時大関としては最高記録であり(現在2位タイ)、3場所連続次点以上の成績と高水準な成績だったが、昇進は見送られた。

最大の理由は優勝経験なしで横綱へ昇進した双羽黒が結局1度も優勝を果たすことなく廃業したことである。

旭富士の場合、この3場所前に遡っても大関昇進以降7場所で、14勝1場所(優勝)、12勝4場所、11勝2場所ともはや横綱級の成績を残しながら昇進を果たせなかったため、時代に泣かされる形となった。

貴乃花は『14勝(優勝)→13勝(同点)→12勝(次点)』と優勝も果たしているが、横綱昇進は見送られた。

同点、次点場所で先に横綱へ昇進していたライバル曙に阻まれる形となった。

その翌年『14勝(優勝)→11勝→14(優勝)→11勝→15勝(優勝)』と5場所中3場所優勝、しかも最後の3場所は合計40勝と最高記録タイだったが昇進は見送られた。

これに関しては11勝が足を引っ張っているとわかりやすいが、この成績でも時代が時代ならば十分昇進に値すると思われる。

結果的に翌場所15戦全勝で2場所連続全勝優勝、さらには3場所合計41勝の最高記録を樹立して昇進を果たした。

そして最後に白鵬だが新大関の場所で優勝を果たし『14勝(優勝)→13勝(次点)』の成績を残し、年6場所制度以降初の大関在位2場所で横綱昇進も期待されたが、次点の場所にて『優勝した朝青龍に独走を許した』という点で昇進は見送られた。

ちなみにこの場所優勝した朝青龍には白星を挙げている。

白鵬は関脇の場所も含めれば『13勝(次点)→13勝(同点)→14勝(優勝)→13勝(次点)』と高水準な成績を残したが、関脇時代の成績は特に加味されることはなかった。

平成以降(厳密に言えば上記の通り双羽黒廃業以降)はとにかく『連続優勝』に拘っていた。

昭和の時代に遡ると、年6場所制以降、連続優勝で横綱昇進した力士は『大鵬』『北の富士』『琴櫻』の3名だけである。

横綱と称される北の湖千代の富士も連覇による昇進ではない。

大鵬のライバルと呼ばれる柏戸に至っては『10勝→11勝→12勝(同点)』という大関昇進レベルの成績にて昇進を果たしている。

柏戸大関昇進以降、比較的高水準な成績を挙げていたとはいえ、さすがにこの成績での昇進は現在でも考えられないだろう。

これに関してはライバルの大鵬と同時昇進させることで、話題性を重視したと言わざるをえない。

これと近いケースが玉の海であり、『13勝(優勝)→10勝→13勝(同点)』と3場所間で見ると優勝を果たしているが、さすがに10勝を挟んで昇進させるのは如何なものかと思う。

これも大鵬の次世代を担う北の富士玉の海を同時昇進させることで、話題性を重視したと言わざるをえない。

上記2つと異なる事情が栃ノ海であり『14勝(優勝)→13勝』と比較的良好な成績ではあるが、昇進を決めた13勝の場所は『優勝次点にも届かない』成績であった。

そのため栃ノ海は現在でも、昇進場所において次点以上の成績を残していない唯一の力士となっている。

そして平成以降に話は戻るが、平成で初めて連覇なしで昇進した力士が現役の横綱である鶴竜である。

『14勝(同点)→14勝(優勝)』と成績は基準を満たしているし問題ないといえば問題ないのだが、連続優勝に拘っていたことを考えると、意外といえば意外だった。

実はこの背景には『稀勢の里』が大きく関与している。

平成25年夏場所九州場所と13勝を果たし、横綱昇進に期待する声も上がる中『連覇しなくても13勝以上の優勝ならば昇進に値する』という声が上がった。

平成26年初場所稀勢の里が綱取りの場所となったわけだが、期待を裏切りこの場所でまさかの負け越しを喫した。

この場所で鶴竜が上記の通り14勝(同点)とし、翌場所初優勝を果たして横綱昇進も手にした。

結果としては稀勢の里への温情を見事利用(?)した形となったのである。

その稀勢の里だが『12勝(次点)→14勝(優勝)』で横綱昇進を果たしたが、次点の場所は優勝力士との星の差が2つ開いており、そのため『日本人贔屓』の声も少なからず上がっていた。

しかし稀勢の里の場合、『13勝(次点)→13勝(次点)→12勝(次点)→10勝→12勝(次点)→14勝(優勝)』と1年単位で見た場合、比較的高水準な成績を残している。

上記の通り、大関昇進問題もそうだが、横綱昇進問題も時代背景に大きく左右される面がある。

連覇に拘る気持ちもわかるが爆発力だけでなく、安定感に目を向けることも重要だろう。

これに関して大関に関する私案でも同じことを記載しているが、横綱ならばなおさら『爆発力』『安定感』ともに重要だろう(ちなみに大関に関する私案はこちら3部作を参照)。

上記の通り、簡単に昇進させてしまえばその力士の寿命を縮める可能性もあり、だからといって連覇に拘り過ぎるのも如何なものかと思うため、過去の事例も加味しながら私案を考えた。

後編へつづく。