きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

267. 2020年11月場所千秋楽を勝手に語る

史上初となる『大関ー小結』による優勝決定戦の末、貴景勝が2年ぶり2度目の優勝を果たして幕を閉じた2020年11月場所。

年5場所であるが、年間全て異なる力士が優勝を果たした。

余談だが初優勝が九州場所であり、その2年後に2回目の優勝を果たしたということで、小錦を思い出してしまった。

横綱が初日から不在、さらに場所の途中から2大関も休場し、1人大関としての重圧をはね除け、21場所連続大関優勝なしの記録に終止符を打った。

場所途中に年間最多勝も受賞し、両手に花となった。

今にして思えば、3日目の霧馬山戦をモノにしたのが大きかったか。

貴景勝大関昇進以降、2日目もしくは3日目に黒星を喫しており、その3日目で絶体絶命の形から逆転の突き落としを決めて白星を挙げたことで、その後も白星を積み重ねていった。

今場所はとにかく自分の相撲に徹していた。

そして下半身にも安定感があり、足もしっかり運べている様子だった。

先場所も12勝を挙げているが、先場所以上に当たりの強さ、出足が冴えていた。

この力士は良くも悪くも押ししかないが、その押しの強さを存分に発揮した場所となった。

『1人大関だから優勝して当然』という言葉もあるだろうが、これに関しては貴景勝の問題ではない。

とはいえ次に求められることは、上位総当たりの中での優勝だろう。

来場所は綱取りの場所である。
休場している上位陣は間違いなく出場してくるだろうが、今場所のような下半身の安定感、そして自分の相撲に徹することが出来れば可能性も十分広がってくるだろう。

決定戦の末、敗れた照ノ富士だが、十分な活躍だっただろう。

場所前から私は優勝候補筆頭に挙げていたが、やはり懸念すべきところは『膝への負担』だった。

先場所を見ても、上位で15日間取り切れるだけの状態には戻っていなかった。

そして今場所も中日、9日目と連敗。

やはり厳しいかと思わせた翌日から力強さが戻り、千秋楽本割では貴景勝を圧倒した。

取り組みに触れていなかったが、本日注目の一番を振り返ろう。

まず本割だが、貴景勝としては立ち合い踏み込み、下から押し上げる狙いだっただろう。

しかし照ノ富士もしっかり踏み込み、圧力負けしなかった。

さらに途中貴景勝が叩き、照ノ富士の体が泳ぎかけたが、これもよく残してその後も逆に圧力をかけていった。

張り手でうまく牽制しつつ、最後はもろ差しを果たして浴びせ倒しを決めた。

貴景勝としても立ち合いの当たり、その後の攻めは悪くなかったが、それ以上に照ノ富士の圧力が凄まじかったというところである。

そして優勝決定戦は本割で敗れた貴景勝は引きずることなく、自分の相撲に徹して一気に押し込んでいった。

照ノ富士としては本割のように踏み込むことが出来ず、また立ち合いもやや上体が高かった。

貴景勝の圧力を2番受け止める程の膝の状態ではないということか。

それでも本当に15日間素晴らしい取り組みを見せてくれたと思う。

来場所も12~13勝を挙げたらその時点で大関へお呼びがかかる可能性も秘めている。

昇進には勢いも重要である。
来場所の活躍にも期待である。

両関脇にも目を向けよう。

まず御嶽海だが、千秋楽でようやく連敗を止め、三役の地位は保った。

とはいえ本日の取り組みも御嶽海どうこうよりも宝富士が自滅した一番だった。

御嶽海については場所途中でもすでに色々記載したから少し割愛するが、とにもかくにも『ムラっけ』を何とかしてほしい。

この力士の場合、負けた相撲内容があまりにも酷すぎるから余計印象が悪くなってしまう。

目の前の一番にもっと集中して取り組んでいってほしいところである。

何度も記載しているが、一発勝負の強さならば現役の3大関よりもはるかに上である。

もう若手と呼べる年齢でもないため、うかうかしている暇などない。

新三役・新関脇隆の勝は、勝ち越しを果たしたため及第点だが、ここ数場所の活躍から考えると物足りなさを感じさせた。

何日か前にも記載したが、御嶽海と同じ匂いを感じさせるのである。

強いときは電車道で圧倒する素晴らしい相撲を取るのだが、負けるときは本日のように意外にあっさりと手をついてしまう。

まだ上位経験は浅いし、そもそも上位圏内で3場所連続勝ち越しを果たしているから間違いなく地力はついているのだが、期待している分ただの勝ち越しでは物足りなさを感じてしまうのである。

来場所以降、さらなる活躍を期待したいところである。

今場所は東西の筆頭である霧馬山、若隆景にも注目していたが、両者ともに跳ね返された。

特に霧馬山が散々な結果だった。
この力士にはかなり期待しているのだが、正直何をしたいのかよくわからない相撲が
多かった。

先場所負傷した肩の問題もあっただろうが、中途半端な立ち合い変化も多く、自分から不利な体勢になることも多かった。

もっと立ち合いの踏み込みを強化し、前ミツを狙うことに徹底することが重要だろう。

若隆景は役力士との対戦では跳ね返されたが、同格以下の相手に対してしっかり白星を挙げ、負け越しを1点のみに留めた。

相撲技術は非常に高く、今場所もそれを存分に発揮していた。

もう少し立ち合いの圧力が増してきたら、元々のおっつけの巧さに力強さも加わるため、今後も楽しみな力士である。

私個人の考えだが、目指すべき力士は3代目若乃花だと考えている。

今場所優勝争いを演じた志摩ノ海だが、千秋楽に敗れたのが少々痛手に感じた。

貴景勝照ノ富士相手に連敗を喫したが、連敗したとはいえ相撲内容は素晴らしかった。

今場所の志摩ノ海は元来のおっつけ、ハズ押しだけでなく、廻しを切る技術、出し投げの巧さ等も見せており、とにかくしぶとく相撲を取っていた。

上位戦連敗は仕方ないとして、本日同格相手に良さを発揮出来ず敗れたのが残念だった。

とはいえ今場所は本当に素晴らしかった。

その他平幕に目を向けると、逸ノ城が終盤6連勝で勝ち越しを決めた。

序盤戦の出来から考えるとよく勝ち越したものだ。

序盤戦は得意の左上手を引いても勝てないほど酷い内容だった。

正直後半戦以降も何が変わったかと言われたら全くわからないが、とにもかくにも本来ならばこんな地位で相撲を取るような力士ではないはずだ。

照ノ富士が復活優勝し、さらには大関復帰も狙える成績を残している一方で逸ノ城は下位で勝ち越すのがやっとである。

この力士も覇気を感じさせないため、もっと気力を振り絞って取り組んでほしい。

三賞に目を向けると、昨日予想した中で、該当力士は予想通りだったが、賞の違いがあった。

照ノ富士の技能賞と志摩ノ海の敢闘賞は逆が良いと思うのだが。

確かに照ノ富士も技能相撲を取ることもあったが、今場所に限って言えば志摩ノ海の相撲技術の方が 上に感じた。

また今場所色々と貧乏くじを引いたのが大栄翔、北勝富士だろう。

両者ともに上位圏内で二桁の白星を挙げているが、実力者ということもあり、受賞ならずといったところか。

またこの両者は番付運も悪く、三役昇進には文句なしの成績を果たしたが、来場所は筆頭に置かれそうである。

今場所の両者の活躍は素晴らしかったため、腐らず来場所も奮闘してほしいところである。

これにて今年の大相撲も千秋楽。

今年は某ウイルスの影響もあり、夏場所が中止となった。

しかしその後3場所は感染対策をしっかり施しながら開催し、大相撲ファンを楽しませてくれた。

感染者が増加している中でも力戦奮闘している力士の姿を見て、本当に感動を覚えるし、相撲観戦出来ることの喜びを改めて感じさせられた1年にもなった。

力士の皆様、大相撲ファンの皆様、15日間お疲れ様でした。

明日から退屈になるものだ…