きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

263. 2020年11月場所13日目を勝手に語る

これが番付の重みだ。
本来あるべき姿だ。

大関としての番付の重み、責任を久々に感じられた一番だった。

初場所では徳勝龍相手にそれが果たせず、7月場所では朝乃山が照ノ富士相手に果たせず、先場所は貴景勝、朝乃山が正代相手に果たせなかった。

ここ数場所、ターニングポイントとなる取り組みにて、大関が番付下位に落とす場面を何度も目にした。

本日の『貴景勝ー志摩ノ海』。
出場している幕内力士の中の番付最高位と最下位。

番付だけで考慮するならば、貴景勝としては勝って当然、負ければ恥。

そのため本日の白星も当然と言えば当然なのだが、それでも久々に番付の重みを感じさせる取り組みとなりホッとしている自分がいる。

確かに番狂わせは面白い。
しかしそれはたまに起きるから面白いのである。

場所前に記載したが、今場所仮に平幕が優勝したならば、史上初となる『平幕の3場所制覇』が実現することになる。

これは言い換えれば、上位陣の不甲斐なさを意味する。

ましてや志摩ノ海が優勝となれば『幕尻の3場所制覇』という珍記録であり、もはや『番付とはなんぞや?』ということになる。

もちろん志摩ノ海は何も悪くない。
ここまでの志摩ノ海は、強さ・巧さを兼ね備えた素晴らしい相撲内容である。

とにもかくにも貴景勝大関の責任を果たしたため、私個人としては本当にホッとしている。

さて相撲内容に目を向けよう。

立ち合いから先手を取ったのは貴景勝

昨日記載したが、志摩ノ海としては勝つための絶対条件として『立ち合いで上体を起こされないこと』だった。

その立ち合いで志摩ノ海は起こされかけたが、完全に起こされることはなかった。

その後貴景勝のいなしも良く残し、突き合いの展開となったが、やはり先手を取った分貴景勝に余裕があったか。

志摩ノ海も健闘したが、最後は貴景勝のいなしに大きく泳いでしまい勝負あり。

短い時間の中にも見ごたえのある一番だった。

2敗の照ノ富士は力強い相撲で2敗を死守。

竜電に浅いもろ差しを許したが、両外前ミツをがっちり引いていたため、竜電としては身動きを取ることが出来なかった。

最後は照ノ富士が右を離して廻しを切りにいって攻め切った。

今場所に限らず、怪我から復帰後の照ノ富士は元々の強引さも時には顔を除かせるが、それ以上に『緻密さ』を感じさせる。

右四つの完成度に関しては、大関在位中よりも上ではないかと感じさせる。

元々怪物級の力強さに緻密さが加わると鬼に金棒である。

あと2日間。
膝への負担もピークに達しているだろうが、気力で取り切ってくれるだろう。

優勝争いとは話が逸れるが、序盤戦好調だったが減速してしまったのが隠岐の海、遠藤の2名である。

隠岐の海は序盤戦力強さを感じさせ、敗れたとはいえ照ノ富士戦では頭をつけるなど勝利に対して貪欲さも見せていたが、中盤戦以降はあっさり土俵を割る場面が多くなった。

元々懐の深さを生かして土俵際逆転の多い力士であるが、それすらも見られない。

序盤戦を見ると二桁に乗せる可能性もあると考えていただけに、拍子抜けの展開となった。

そして遠藤だが、立ち合いの踏み込み良く、その後の出足も良好だったため、初日から4連勝スタートを切ったときは早い段階で二桁に乗せると思ったが、13日目を終了してまさかの黒星先行である。

珍しくサポーターを装着しているため、怪我をしているのだろうが、それにしてもあっさり土俵を割る場面が目立つ。

土俵際の巧さも遠藤の武器の一つだが、それも全く見られることがない。

上位圏外の地位で遠藤が苦戦している姿を見るのは少々辛いものがある。

あと2日間、気力で勝ち越しを果たしてほしいところである。

明日の注目の割は
貴景勝ー御嶽海』
照ノ富士ー志摩ノ海』
優勝争いに関わる2番である。

番付順で考えるならば貴景勝ー御嶽海は千秋楽に組まれる割であったが、14日目に持ってきた。

御嶽海が連敗を喫し、下手すれば割を崩される可能性もあったため、そうなれば2場所連続この割が崩される可能性があったが、その事態は避けられた。

私個人としては貴景勝ー御嶽海の割は毎場所見たいと考えている。

なぜならこの両者の対戦は『何かしらの因縁』があるからだ。

貴景勝が初優勝を決めた場所、大関取りの場所において鬼門となっていたのが御嶽海だった。

そして新大関の場所で怪我をした一番、そして昨年秋場所優勝決定戦で怪我をした一番も御嶽海相手だった。

貴景勝としては意識する相手であることに間違いないだろう。

今場所特に終盤戦以降の両者の相撲内容を見れば、貴景勝が圧倒する印象も少なからずある。

しかしこういう時に力を発揮させる御嶽海を知っているからこそ、何か起きるのではないかと思いもある。

貴景勝としては立ち合いしっかり踏み込んで押しに徹することだろうが、とにかく安易ないなしに頼らないことである。

御嶽海が貴景勝に勝つときは、そのいなしが来るのを待っており、しっかり対応している。

また御嶽海の『右の使い方』も鍵となるだろう。

一時期右差しから貴景勝の当たりを止めることが多かった。

貴景勝としてはその辺りも頭に入れているかどうか。

また御嶽海は『立ち合い変化』もあるのではと考えている。

良くも悪くもこういう時に何をしてくるかわからないのが御嶽海である。

貴景勝は考え過ぎず自分の相撲に徹することが出来るかどうか。

照ノ富士ー志摩ノ海は昨日竜電戦で記載したが、それに近い展開になるのではないかと予想している。

今場所の志摩ノ海はしぶとい相撲を存分に発揮しており、十分に勝機もあるだろうが、それを上回る照ノ富士の圧倒的パワーと言ったところか。

志摩ノ海としてはとにかく胸を合わせる形だけは避けたいところだ。

頭をつけておっつけ、ハズ押しで攻め込めたら面白い展開になるだろう。

照ノ富士としては逆転優勝のために一つも落とすわけにはいかない。

残り2日間。
2敗同士の割が組まれているため、千秋楽まで優勝争いがもつれる展開となったが、誰が優勝を手にするのか…