きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

262. 2020年11月場所12日目を勝手に語る

優勝争いに関わる3番。
貴景勝照ノ富士、志摩ノ海と白星を伸ばした力士全員が自分の相撲を取り切った。

まず貴景勝だが、今場所好調である宝富士を意に介さず突き出した。

比較的押しやすい相手であると昨日も記載したが、今場所の宝富士ならば勝敗は別にしても、もう少し腰を落として踏ん張ることが出来るかと思ったが、立ち合い当たった瞬間に宝富士の上体が起きてしまった。

貴景勝の迷いない自分の相撲に徹した素晴らしい内容だった。

貴景勝としてはあと3日間この相撲を取るだけだろう。

次に照ノ富士ー御嶽海だが、こういう時に力を発揮させるのが御嶽海と思っていたが、これまた照ノ富士が意に介さず完勝。

立ち合い踏み込みすぐに左前ミツ、さらには右も差してすぐに下手を引いた。

最後はもろ差しとなり、右の腕を返して万全の寄り。

2連敗後の2連勝は良く言えば『豪快』悪く言えば『強引』だったが、本日は『完璧』。

終盤戦に来てこの相撲内容は圧巻である。

これで白星を二桁に乗せ、大関昇進の基点となった。

もちろんそれも重要だが、逆転優勝のためには貴景勝との直接対決まで星を落とすわけにはいかない。

最後に優勝争いに関わる平幕同士の一番である『竜電ー志摩ノ海』。

本日最も見ごたえのある一番だった。

立ち合いで竜電がすぐに左前ミツに手をかけたが、志摩ノ海はこれをすぐに切って頭をつける形を取った。

その後再び竜電が左下手を引くが、志摩ノ海は体を開きながらこれをうまく切ってしぶとく頭をつけた。

竜電も負けじと志摩ノ海の上体を起こそうとしてさらに左下手を狙うが、志摩ノ海は右から絞ってそれを許さない。

最後は志摩ノ海が逆に左で廻しを引いて、鮮やかな出し投げを決めた。

しかもさらに言えば最後出し投げを打つ際も相手の下手を切っている。

実に3回もうまく廻しを切っており、徹底して竜電の左を殺していた。

元々頭をつけておっつけ、ハズ押しのしぶとい相撲を取る力士ではあったが、ここまで相撲技術の高い力士だとは思っていなかった。

好調力士というのは基本的に何をやってもうまくいくものだが、廻しを切る技術というのは小手先だけで出来るものではない。

本日は志摩ノ海の相撲技術の高さに驚かされた1日だった。

一方竜電としては志摩ノ海の上体を起こすこと、左に拘りすぎたことが敗因か。

右をもう少しうまく使えば、左がもっと活きたかもしれない一番だった。

志摩ノ海の我慢勝ちと言ったところか。

優勝争いとは関係ないが、両関脇についても記載しておこう。

まず御嶽海。
9日目妙義龍に敗れた時点で集中力を切らす可能性が高いと懸念していたが、まさにその通りの展開となり4連敗を喫した。

しかも内容が最悪である。
本日照ノ富士戦も上記の通り、照ノ富士が素晴らしい内容だったのは間違いないが、それにしても御嶽海がだらしなさ過ぎるとも言える。

先場所朝乃山に上手投げで敗れた辺りから少し懸念していたが『一発勝負の強さ』も薄れてきたように感じる。

この力士は強さと弱さを混在させているため15日間総合しての強さに欠けるが、一発勝負の強さ、爆発力ならば現役大関3名よりも遥かに上だと考えている。

しかし先場所の朝乃山戦、本日の照ノ富士戦とまるで相撲にならず敗れている。

老け込むにはまだまだ早すぎるため、ここらで本腰を入れなければ三役定着すら厳しい展開に陥る可能性が高い。

そして隆の勝だが、この力士も今場所の内容を見ていると御嶽海と同じ匂いを感じさせる。

強いときは本日のように完璧な相撲内容であるが、弱いときは昨日のようにあっさりと手をつく。

同格相手に勝ち切れない悪い癖とも言える。

今場所は新三役の場所であるが、対戦相手は全員同格以下である。

ここ数場所で成長著しい力士だが、御嶽海と同じ道だけは歩まないでほしい。

明日の注目の割は
貴景勝ー志摩ノ海』
照ノ富士ー竜電』
優勝争いに関わるこの2番だろう。

出場している幕内力士の最高位と最下位が単独首位を懸けて激突する。

貴景勝としては本日のような相撲を取ることだけに集中していくだろう。

一方志摩ノ海は持ち味である頭を上げないしぶとい相撲を貴景勝相手に取ることが出来るかどうか。

とにかく立ち合いが重要だろう。
志摩ノ海としては何としても立ち合いで上体を起こされないことだ。

まずこれが絶対条件であり、この条件をクリアした後、如何に密着して相撲を取ることが出来るかどうか。

志摩ノ海の真価が問われる一番となるだろう。

また貴景勝だが、今年の初場所千秋楽で幕尻の徳勝龍と割が組まれ、その一番に敗れて幕尻に優勝を許した苦い経験を味わっている。

同じ轍を踏むわけにはいかず、貴景勝大関としての責任が問われる一番となるだろう。

照ノ富士ー竜電だが、竜電としては前ミツを引き、頭をつけて出し投げで崩すというのが理想だろう。

しかしここ数日の照ノ富士の相撲を見ていると、高い相撲技術も圧倒的なパワーの前では無力と化すのではないかと考えている。

あまり強引な相撲は取ってほしくないが、竜電が良い形を作っても強引に極め出すイメージがあり、さらに本日の相撲を見ると立ち合いから照ノ富士万全の形を作って圧倒するというイメージもある。

私の中では照ノ富士が圧倒的有利と考えているが、竜電の巧さがどこまで通用するのか楽しみである。

貴景勝照ノ富士、志摩ノ海に優勝が絞られたと言える展開だが、明日の結果次第で割も大きく変化する可能性が高い。

はてさて…