本日、大相撲11月場所初日の割が発表された。
その中に両横綱の四股名はなく、2場所連続両横綱が初日から不在ということになった。
来年早々、両横綱にとっては進退を懸ける年になる様子である。
これによりここ数年当然とも言える光景になってきたが、良く言えば『混戦』、悪く言えば『どんぐりの背比べ』の展開となるのが予想される。
本来ならば横綱の次の地位である大関に期待したい所だが、何度か記載しているように大関の優勝は21場所連続で遠ざかっている。
この記録を見ると『最近の大関は情けない』と嘆きたくなる気持ちもわかるのだが、果たして過去の記録ではどうなのか。
年6場所制となった昭和33年以降、初日から横綱が不在というケースは先場所までで『12場所』である。
先場所までで全369場所中の12場所のため、意外に少なく感じた。
ちなみに『千秋楽までに途中休場して横綱が不在』となったケースは『19場所』である。
そのため合計しても31場所であり、1割にも満たないということである。
話が少し逸れたが、上記12場所における優勝を果たしたそれぞれの番付の人数の内訳は以下の通りである。
年代 |
四股名(番付) |
優勝成績 |
休場横綱 |
昭和45年初 |
13勝2敗 |
||
昭和47年名古屋 |
高見山(前頭4) |
13勝2敗 |
|
昭和58年夏 |
北天佑(関脇) |
14勝1敗 |
|
平成4年夏 |
曙(関脇) |
13勝2敗 |
北勝海(場所前引退) |
平成4年名古屋 |
水戸泉(前頭筆頭) |
13勝2敗 |
番付上横綱不在 |
平成4年秋 |
貴花田(小結) |
14勝1敗 |
番付上横綱不在 |
平成4年九州 |
曙(大関) |
14勝1敗 |
番付上横綱不在 |
平成5年初 |
曙(大関) |
13勝2敗 |
番付上横綱不在 |
平成6年夏 |
14勝1敗 |
曙 |
|
平成6年名古屋 |
15戦全勝 |
曙 |
|
平成6年秋 |
15戦全勝 |
曙 |
|
令和2年秋 |
正代(関脇) |
13勝2敗 |
先場所初日から横綱不在の中、正代が初優勝を果たしたが、実は26年ぶりと久しぶりの出来事だった。
やはり番付上横綱の次に位置する大関が半数を占めているわけだが、平成4年夏場所~平成5年初場所までは『番付上横綱不在』のため少々事情が異なる。
ちなみに『千秋楽までに途中休場して横綱が不在』となったケースの内訳は以下の通りである。
年代 |
四股名(番付) |
優勝成績 |
休場横綱 |
昭和43年夏 |
13勝2敗 |
柏戸(途中休場) 大鵬(全休) |
|
昭和44年九州 |
13勝2敗 |
大鵬(途中休場) |
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昭和47年初 |
栃東(前頭5) |
11勝4敗 |
北の富士(途中休場) |
昭和47年名古屋 |
輪島(関脇) |
12勝3敗 |
北の富士(途中休場) |
平成3年秋 |
琴錦(前頭5) |
13勝2敗 |
北勝海(全休) 旭富士(途中休場) |
平成3年九州 |
13勝2敗 |
旭富士(全休) 北勝海(途中休場) |
|
平成4年初 |
貴花田(前頭2) |
14勝1敗 |
北勝海(全休) 旭富士(途中引退) |
平成4年春 |
13勝2敗 |
北勝海(途中休場) |
|
平成11年春 |
13勝2敗 |
若乃花(途中休場) 貴乃花(途中休場) 曙(全休) |
|
平成14年九州 |
14勝1敗 |
武蔵丸(途中休場) 貴乃花(全休) |
|
平成15年初 |
14勝1敗 |
武蔵丸(全休) 貴乃花(途中引退) |
|
平成15年名古屋 |
12勝3敗 |
朝青龍(途中休場) 武蔵丸(途中休場) |
|
平成18年夏 |
14勝1敗 |
朝青龍(途中休場) |
|
平成30年名古屋 |
御嶽海(関脇) |
13勝2敗 |
白鵬(途中休場) 鶴竜(途中休場) 稀勢の里(全休) |
平成30年九州 |
貴景勝(小結) |
13勝2敗 |
白鵬(全休) 鶴竜(全休) 稀勢の里(途中休場) |
玉鷲(関脇) |
13勝2敗 |
白鵬(途中休場) 鶴竜(途中休場) 稀勢の里(途中引退) |
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令和元年秋 |
御嶽海(関脇) |
12勝3敗 |
白鵬(途中休場) 鶴竜(途中休場) |
令和2年初 |
徳勝龍(前頭17) |
14勝1敗 |
白鵬(途中休場) 鶴竜(途中休場) |
令和2年7月 |
照ノ富士(前頭17) |
13勝2敗 |
白鵬(途中休場) 鶴竜(途中休場) |
やはりここでも大関が最も人数が多く、そして小結が最も少ない結果である。
合計31場所で考えるならば
『大関15場所』
『関脇7場所』
『小結2場所』
『平幕7場所』
となっており、平幕もかなり健闘しているため、やはり横綱が不在となると混戦になるのは必須である。
しかし上記表をよく見てみると、確かに大関の優勝人数が最も多いのだが、四股名を見てみると『後に横綱へ昇進した力士が大半』である。
玉乃島(後の玉の海)、北の富士、曙、貴ノ花(後の貴乃花)、武蔵丸、朝青龍とそうそうたるメンバーである。
横綱へ昇進できなかった小錦、魁皇に関しても、横綱にあと一歩まで迫った大関と言っても過言でない大関であった。
そのため横綱不在の中優勝を果たす大関というのは『横綱の力量がある大関』もしくは『横綱の力量に近い実力を持った大関』でなければ厳しいのかもしれない。
正直この中で『横綱に昇進するのは誰か?』と聞かれた時、私は『いない』と即答すると思う。
もちろん期待していないわけではないが、それだけ現状の力量では想像がしづらいということである。
そのため21場所連続大関が優勝を果たしていないという結果に繋がっているのかもしれない(3年前まで遡ると3力士は大関に昇進していないが)。
この中で抜け出すのは誰か。
それとも別の力士が彗星の如く現れるのか。
どのような展開になっていくのか…