きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

240. 朝乃山、貴景勝の評価

昨日正代の初優勝&大関昇進の両手に花で幕を閉じた2020年秋場所

場所前から両横綱不在との情報が流れ、出場する力士の中では最高位である朝乃山、貴景勝の両大関に期待を寄せられていたが、両者ともに優勝には届かず、21場所連続大関が優勝を果たせない結果となった。

歴代2位の記録を更新中だがこの21場所の間、関脇以下の優勝は9場所を数える。

さらに平幕優勝は4場所、その内幕尻優勝は2場所である。

成績面だけを見れば貴景勝は12勝、朝乃山は10勝。
特段悪いわけでもないが、両横綱が不在だったことを踏まえると、不甲斐ないという印象を強めてしまっている。

またダメ押しともなる展開となったのが、両者ともに『正代に完敗した』という事実である。

正代が強さを発揮した場所であることに間違いはないのだが、両大関がその壁になることが出来ず、さらには完敗してしまったというのが最大の汚点とも呼べる。

それぞれに目を向けると、貴景勝は12勝を挙げ、自身大関在位としては最高成績であり、今場所の次点成績でもあり、大関としての役割を果たしたと言える。

しかし北勝富士栃ノ心と今場所全く振るわなかった平幕2人に敗れたことが結果的に取りこぼしという形となった。

そして上記の通り、結果的に今場所のターニングポイントとなった13日目正代戦に敗れたことが最大の要因だろう。

横綱不在の中、出場している力士の中では最高位という重圧はあったかもしれないが、ターニングポイントで下の番付に敗れる辺りまだ未熟とも言える。

今場所は勝っている相撲に関しては、ほぼ完璧な相撲であり、それで12個白星を並べる辺り、実力は間違いなくある証明でもある。

元々この力士は押し相撲でありながら連敗が少ないため、昨今上位に多くひしめく押し相撲の中でも安定した成績を残せるため、大関へ昇進したという事実がある。

しかし優勝を果たした2年前の九州場所では、1差で追いかけていた高安に敗れる、その翌場所では千秋楽勝てば大関昇進の話題も出た一番で豪栄道に完敗する、昨年秋場所では優勝決定戦で御嶽海に完敗する等、ここ一番で勝ち切れるかというとそうではない。

今場所の正代戦もこれに該当する形となった。

当たり前のことだが取りこぼしを減らすこと、そして局面における一番をモノにする力を身に付けることが優勝への鍵となるだろう。

来場所以降、奮起を期待したい。

そしてもう一人の大関朝乃山だが、10勝5敗は大関として及第点であるが、やはり初日から3連敗という悪い印象を拭い去ることは出来なかった。

またさらに言えば今場所は勝った相撲と負けた相撲の内容の差が激しすぎた。

10連勝(土俵上では8連勝)の内容は立ち合いも厳しく、力強さも十分であった。

御嶽海戦、隠岐の海戦の上手投げは強烈の一言だった。

しかし負けた相撲に関しては、序盤戦は踏み込みも甘く、土俵際のツメの甘さも目立っていた。

終盤戦の連敗は攻められるだけ攻められて何一つ良いところがなかった。

正代戦に関しては、正代が素晴らしかったのは事実であるが、千秋楽はその敗戦を引きずっていたのか何一つ気迫を感じなかった。

これで6場所連続二桁勝利と安定感があることは間違いないのだが、優勝への爆発力を考えるならば左上手の取り方を工夫しなければならない。

元々朝乃山は苦手力士を徐々に克服していき、安定した成績を収めるようになった。

その背景は苦手としていた押し相撲相手にも当たりで下がらず、むしろ圧力勝ちするようになり、流れの中で組み止める相撲を確立したからである。

今場所は勝利したが、苦手としている御嶽海相手には、当たりを受け止めてももろ差しを許すといった展開で、他の押し相撲とはひと味違うため苦戦を強いられている結果となっている。

白鵬鶴竜の両横綱に対しては、相四つの右四つであるが、四つの完成度では両横綱に劣るため、基本的には勝つことができない。

そして先場所から突如現れた(復活を遂げたという方が正しいか)照ノ富士に対しても相四つであるが、右四つの地力では照ノ富士の方が上のため、初顔合わせから連敗を喫している。

結局は『右四つの完成度は低い』ということである。

朝乃山が右四つになれば勝てるという印象が強いのは、周りに押し相撲が多いため、組めばほぼ必然的に勝てるからである。

しかし右四つの完成度が高い白鵬鶴竜照ノ富士には通じない。

栃ノ心逸ノ城の状態が良ければ、この2人にも右四つで勝てるかどうか不明である。

そのため上記の通り、右差しではなく、左前ミツに拘って取り組んだ方が良いと考える。

さらなる安定感の向上、そして爆発力向上に繋がるだろう。

朝乃山にはそれが出来る素質は十分にある。

正代の大関昇進がほぼ確定し、来場所からは3大関である。

先輩大関として両者ともに来場所以降の活躍を期待したい。