先程14日目の事に関して記載したが、ここでは朝乃山に関して記載したいと思う。
昨日も記載したが、昨日照ノ富士に敗れたことで、自力優勝消滅、さらには初顔合わせの小兵力士と嫌なものが全部揃った状態での本日であった。
とはいえ、照ノ富士が正代に敗れた瞬間、この段階では自力優勝の可能性が生まれた。
しかし気持ちの切り替えは出来ていなかった様子である。
本日の対戦相手である照強としては、もはや変化するしか勝ち筋はないと言っても過言でなかっただろう。
ましてや今場所の相撲内容を見ていると、変化を多用しており、さらには足取りも見せている。
朝乃山としては無警戒ってことはなかっただろうが、そうとも見受けられる程きれいに足取りを食らった。
やはり昨日の敗戦が余程ショックだったのか、完全に集中力を欠いていた内容だった。
朝乃山としては2日連続で屈辱的な負けた方となり、今後の相撲人生においても自信消失してしまうほどの敗戦になった可能性もある。
まだ千秋楽が残されているし、逆転優勝も可能だが、場所前から私が懸念していた『上位圏内で12勝を果たしたことがない』という事実が今場所も現実味を帯びてきている。
明日正代に敗れたら、今場所も11勝止まりとなってしまう。
ここ数場所で朝乃山は『安定感』を売りに大関へ昇進した。
目安と言われる『3場所33勝』には届かなかったが、元々これは規則ではないし、上位圏内で『4場所連続二桁勝利』という安定感は本物だった。
現に今場所も早々二桁勝利を果たし、これで5場所連続である。
一発勝負、爆発力では御嶽海の方が上だとしても、安定感では朝乃山の方が上であるため、朝乃山は大関へ昇進し、御嶽海は関脇へ留まっている。
今場所は朝乃山にとって幸か不幸か、朝乃山以外の上位陣が結果的に休場してしまった。
これにより朝乃山の対戦相手は皆番付下位の力士となった。
初日から連勝を重ね、単独先頭の白鵬が不在となり、残った一人大関の朝乃山の優勝で決まりだと思ったファンも多かったのではないだろうか。
今場所優勝を果たし、来場所は両横綱に勝利して横綱へ昇進するという夢を思い浮かべていたファンも多いだろう。
その中、突如現れた照ノ富士。
白鵬、貴景勝が途中休場しなければ、割崩しを行わない限り対戦する予定のなかった力士である。
元大関とはいえ、現状の力を考えれば朝乃山有利だと思っていたファンも多かったはずだ。
ましてや現在の照ノ富士の番付は幕尻。
今場所の照ノ富士は早々10勝を挙げたとはいえ、先場所は十両で10勝5敗の成績であり、徐々に力が戻りつつあるも、まだ上位圏内で相撲を取るにはどうかという疑問はあった。
以前から記載していたが、もちろん照ノ富士が早く上位と対戦してほしいという気持ちは強かった。
そしてそれが現実となった昨日、本当に楽しみにしていた。
それは照ノ富士が上位に勝つ姿を見たいというよりも、現状どれだけ力を取り戻しているのか確認したいという興味からである。
朝乃山としては
幕尻に負けるわけにはいかない。
一人大関として負けるわけにはいかない。
そして元より新大関としての重圧。
ファンは朝乃山に対してこの数日間だけでも、過度な期待を寄せていた。
もはやそれは期待ではなく、ただの重圧でしかなかったのかもしれない。
その重圧の中、得意の右四つに組み、さらには上手も引いたが、結果として照ノ富士相手に完敗。
昨日も記載したが、この一番だけで両者の格付けがされるわけではないが、ファンの評価は『照ノ富士の方が地力がある』という認識に至ったのではないだろうか。
もしかしたらファンの中には『朝乃山には裏切られた』とさえ思っている方もいるかもしれない。
それは本日照強相手に足取りを食らって敗れたことで、より一層強まったかもしれない。
これが関脇の番付だったらそこまで言われることはなかっただろう。
しかし今は大関だ。
今場所の御嶽海、正代を見てもわかるように、関脇で11勝は基本称賛される成績である。
しかし大関になるとそうはいかない。
過去に何度か記載しているが、最高位大関の大関在位の最高勝率は高安の0.665である。
これは1場所平均にすると10勝にも満たない成績である。
しかし多くの相撲ファン及び解説者が『大関は最低10勝』『優勝争いをして当然』という意見を口にする。
確かにそれが理想であるが、結果として伴っていないのが歴代の大関である。
かれこれ大関の優勝は3年半見られていない。
しかも最高位大関の優勝は2016年秋場所の豪栄道が最後である。
クンロクでは当たり前のように叩かれ、10~11勝で普通という認識がなされている。
大関で留まる力士達にこれを求めるのは酷ということだ。
この発言をしていると、朝乃山が大関止まりの力士と認識されそうなので断っておくが、朝乃山は『今場所が新大関』である。
以前記載したが、新大関で11勝は合格点だろう。
真価が問われるのはこの先だ。
朝乃山は苦手力士を克服して、安定した成績を収めることが出来ている。
次は御嶽海を克服し、そして両横綱。
照ノ富士という強敵も再び出現したが、朝乃山には克服する力量が備わっていると信じている。
まだ優勝の可能性が残されているとはいえ、今場所は間違いなく屈辱的な場所になっただろう。
自信消失するには早いぞ朝乃山。
頑張れ朝乃山。
まだまだ先は長い。