きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

193. 予想することの難しさ

昨日、大相撲夏場所開催中止が決定した。

相撲ファンにとって残念な知らせであったが、これに関しては仕方ないことだし、もっと早く決定した方が力士のためであるとも感じた。

相撲観戦もない、外出自粛と腐りそうになるのだが、ここ数日読書がてら相撲雑誌を眺めていた。

その中で興味深い記事を目にした。

まずは以下の写真を見ていただきたい。

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少々見辛く、また全て人の結果を収めているわけではないのだが、これは何かというと『横綱北の湖に関するアンケート』である。

昭和55年名古屋場所を終了時点のものであり、北の湖はこの時点で27歳、優勝回数20回を数えていた。

最大のライバル輪島が衰退してきており、自身は年間5場所制覇、当時最高記録である年間82勝を挙げるなど、全盛期真っ只中とも言える時期であった。

その中『大鵬の持つ優勝回数32回を越えられるかどうか?』というものにスポットライトを当てたアンケートである。

具体的なアンケート内容は

北の湖は優勝回数32回を破れるか?(A:破れる B:破れない) また破るとしたらいつ頃か?

北の湖は何回優勝するか?

③今後、北の湖に望むことは?

④今後、北の湖に対抗する力士は?

北の湖以降の次代を担うホープは?

以上5点である(回答者は29名)。


面白いことに①に関しては29名中28名がA:破れると回答している。

そして唯一破れないという回答者も『最低30回は優勝』としている。

もちろん私は答えを知っている中でこの記事を見ているから『当時の予想もあてにならないものだ』と感じる一方『当時の北の湖の強さが凄まじかった』とも感じさせられた。

如何せんこのアンケートを集計した昭和55年時点では、上記の通り全盛期を迎えており、また休場とも無縁であったため、それだけ期待を寄せたくなるのも無理もない。


そして『いつ頃越えるか?』に関しては、昭和58年~昭和59年に集中しており合わせて24名、昭和60年~昭和61年と予想した回答者は合わせて4名である。

結果的に優勝回数も24回に留まっており、また北の湖が引退したのは昭和60年初場所のため、ここでも大きく予想を外す回答者が存在する。


そして最も面白いと感じたことは④と⑤である。

④に関しては

・朝汐(後の朝潮):22人

・琴風:11人

若乃花:8人

千代の富士:5人

・その他

という回答だが、当時同じ番付であった若乃花よりも、北の湖が苦手としていた朝汐に多くの期待を寄せられているのである。

朝汐に関して言えば北の湖が苦手にしていたということもあり、まだそれなりに納得いくのだが、2位の琴風に関しては『北の湖がカモにしていた相手』がランクインしている。

確かに当時上り調子の琴風であり、結果的に『最強大関候補』にも挙げられる力士だが、北の湖の対抗馬とはやや考えにくい面がある。

これはやはりリアルタイムで観ていないため、結果論で話を進めているからかもしれない。

最も衝撃を受けたのが、後の大横綱、さらには結果的に北の湖よりも多く優勝を果たす千代の富士に対して5票しか入っていないことである。

この数場所後に千代の富士が初優勝を果たし『千代の富士フィーバー』が起こるのだが、当時は北の湖、輪島に対して未勝利、若乃花に対しても惨敗していたため、対抗馬とするにはまだ影が薄かったということか。


そして⑤に関しては

北天佑:21人

・朝汐:16人

・若瀬川:10人

・琴風:6人

・若島津:6人

・その他

という回答である。

ここでは千代の富士はたったの『3票』である。

確かに千代富士と北の湖は年齢で言えば3歳しか離れていない。

これは北の湖の出世が早すぎた事も影響しているのだが、3歳しか離れていない力士に次世代を担うというのは難しいと感じたのか。


そして北天佑、若瀬川、若島津に関してはこの時点で幕内力士ですらない。

結果的にこの3名の中で横綱へ昇進した力士は存在せず、若瀬川に至っては三役の昇進も叶わなかった。

さらに言えば北天佑北の湖と同部屋であるため、どちらにせよ北の湖を脅かすことは出来ない。

記事を読んでいて予想することの難しさ、楽しさを改めて感じた。


私も相撲観戦歴が25年以上になるが、時代背景を辿ると『曙貴→朝青龍→青白→白鵬』といった流れである。


まず『曙貴時代』だが、このとき私は子供心ながらに『貴乃花は25回優勝する』と予想していたものである。


そして朝青龍がまだ三役に昇進したばかりの平成13年頃には、私は当時横綱だった貴乃花武蔵丸が引退した後大相撲界を担う力士は『朝青龍琴光喜』だと思っていた。

この両者に関しては早く大関横綱に昇進するのは琴光喜であるが、優勝回数に関しては『朝青龍15回、琴光喜8回』と予想していた。

しかし結果的にこの予想は大間違いもいいところだった。

片や優勝25回、片や優勝1回であり、しかも大関止まりであった。

しかし言い訳をさせてもらうと、今でこそ白鵬が44回も優勝を果たし、また朝青龍も年間完全制覇などの快挙を成し遂げ25回の優勝を果たし、感覚麻痺を起こしてしまっているが、当時は10回優勝すれば名横綱と言っても過言でないレベルだった。

貴乃花のライバルである曙、武蔵丸の優勝回数がそれぞれ11回、12回であることがその裏付けとも言える。

そのため上位へ躍進してきたばかりの朝青龍を見た時は15回と予想していたのである。

琴光喜に関しては私自身最も裏切られた力士といえる。

右差し速攻、前さばき及び巻きかえの巧さ、廻しを切る技術、出し投げのキレなど文句のつけようがない力士であった。

やはり平成14年初場所大関昇進を決めきれなかったことが悔やまれるか。


そして朝青龍が全盛期を迎えた平成16年~平成17年に白鵬が上位へ躍進してきたわけだが、相撲内容を確立した白鵬を見た時、朝青龍が土俵を去ったあと大相撲界を担う力士になると確信し『優勝回数は25回』と予想していた。

これに関しても的外れもいいところである。

さらに言えば63連勝を果たした平成22年においても、当時25歳で優勝回数17を数えていたが、この時点でも優勝回数は『35回』と予想していた。

必ずどこかで怪我に悩まされ、気力で大鵬の記録は越えるだろうが、最後は満身創痍を予想していた。

しかしこれも的外れな結果となってしまった。


大相撲だけに限った話ではないが、予想というものは本当に難しい。

しかし予想することが観戦する上で何よりも楽しいことである。

上記の北の湖の記事に関してもそうだが、結果だけを見れば『何て的外れな予想、発言をしているんだ?』と感じるが、当時の印象、空気などを感じ取った中での予想だろう。

私の琴光喜の予想に関しても相当バカにされるレベルだが、当時を知っているファンからすれば少しは感じ取ってもらえるのではないだろうか。

 

ちなみに『現在の大相撲で期待している力士は?』と尋ねられたら『朝乃山』と答えるが、『次世代を担う力士は?』と尋ねられたら『霧馬山、豊昇龍、狼雅』のモンゴル力士3名を挙げる。

5年後、10年後。この予想は当たるのか当たらないのか。

はてさてどうなるものか…