きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

191. 豊ノ島の意外な記録

少し前の話題だが、元関脇 豊ノ島が現役引退を表明した。

ここ数場所は力の衰えが顕著になってきており、関取の座を守ることも困難であった。

かつてのような相撲とは程遠かったため、引退自体に何一つ疑問はなかった。

豊ノ島といえば、新弟子検査の第二検査合格者として初の関取として有名であり、もろ差しの巧さ、キレのある下手投げ、すくい投げ、肩透かしなど『技能相撲』に相応しい力士であった。

上位にとっては曲者と呼べる存在であり、中には『大関候補』と呼ぶファンも存在したが、私の印象としては『魁皇千代大海琴欧洲に強かった力士』である。

また上位で大勝ちするのではなく、平幕中位あたりで大勝ちして三賞を受賞する印象が強い。

それを示すデータとして、三役に13場所在位して勝ち越しは3場所に留まる。

そのため『曲者』という言葉が一番当てはまるかもしれない。

豊ノ島を語る上で外せないのは『平成22年九州場所』『平成28年初場所』この2場所だろう。

まず平成22年九州場所は平幕下位で14勝を挙げ、白鵬と優勝決定戦を演じた場所である。

不祥事で番付を下降させ、幕内に復帰した場所で成し遂げた成績だが、やはり幕内下位では実力が1枚も2枚も上であることを証明した場所だった。

そして平成28年初場所は小学生の頃からのライバル琴奨菊が初優勝を果たし、10年ぶりの日本出身力士優勝に湧いた場所だったが、その琴奨菊に唯一土をつけ、優勝次点の成績を果たした。

豊ノ島が幕内で輝いた最後の場所とも言える活躍だった。

上記2つが豊ノ島活躍の主体であり、細かいところでは『白鵬が初めて金星を配給した相手』『朝青龍に連勝した経験を持つ』といったところもある。

それよりも何よりも題名通り豊ノ島には意外な記録を保持している。

言い換えれば『歴代1位』である。

それは『関脇以下で優勝次点(準優勝)の回数が最も多い』ことである。

豊ノ島は同点1回、次点4回であり、合計5回の準優勝記録である。

ちなみ『最強関脇』と称されることの多い琴錦は4回に留まる。

優勝次点は展開によっては星の差4つでも成し遂げられる記録であり、限定的といえばそうなのだが、力量がなければ成し遂げることは出来ないため、十分に誇れる記録と言えるだろう。

実力者であり、他にない相撲技術、相撲勘を持ち合わせていただけに、平成28年のアキレス腱の大怪我は残念だった。

また上位に定着した辺りから増量しすぎたことも私個人としては残念だった。

現在の大相撲は押し相撲主体であり、小兵力士の活躍も見受けられるようになってきたが、上位で活躍する小兵力士の登場は中々お目にかかれないだろう。

豊ノ島のようなもろ差しの巧さを持ち合わせた小兵力士の誕生を望みたい(晩年の体型は小兵と言い難いが)。

現役引退生活お疲れ様でした。