きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

189. 朝乃山の大関昇進に関して

本日、朝乃山の大関昇進が正式に決定した。

場所中も記載したが、朝乃山の大関昇進に対して疑問、不満に思うファンも少なくない。

私自身も14日目鶴竜に敗れた時点で『来場所の昇進はない』という考えを持っていた。

それでも千秋楽に11勝を挙げ、臨時理事会の要請をした事実を耳にしたときはそこまで否定的にはならなかった。

それは上位総当りの地位で4場所連続で二桁勝利を挙げた『安定感』は本物であると感じたからである。

なぜ批判が多いのか?

①目安の『3場所33勝』に達していない

②3場所間で横綱に未勝利(不戦勝1つ)

この2つが大きな理由として挙げられる。

まず①に関してだが、過去にも記載したが目安とされている『3場所33勝』は規則ではない。

マスコミによって広げられたものであり、協会は否定しているとも言われている。

私自身、過去に『大関昇進に関する私案』を記載したことがある(詳細は25.26.27)。

大雑把に言えば私案では『原則三役で3場所33勝以上もしくは6場所で60勝以上』というものである。

なぜ私自身は33勝に拘るかというと、数値化した方が批判が大きく軽減できると考えているからである。

そして私は爆発力だけでなく『安定感』も重視したいため、6場所60勝以上という考えも持っているのだが、朝乃山はこれに近い安定感が備わってきたと思っている。

そのためいざ朝乃山の大関昇進が決定した時、上記の通りそこまで否定的にはならなかった。

そのため①よりも②の方が引っかかるファンも多いのではないだろうか。

 

そこで今回、年6場所制となった1958年以降で大関へ昇進した力士の成績を『上位戦』に着目してまとめてみた。

表にすると膨大になるため、まずは昭和に大関へ昇進した力士に関して以下にまとめた。

四股名 3場所前 2場所前 直前 合計 3場所三賞回数 横綱 大関 上位戦勝率
琴ヶ濱 10 11 13 34 3 3勝4敗 2勝2敗 0.455
若羽黒 7 11 12 30 1 1勝6敗 2勝0敗 0.333
柏戸 9 10 11 30 4 5勝2敗 3勝2敗 0.667
大鵬 11 12 13 36 1 1勝2敗 3勝2敗 0.5
北葉山 8 9 11 28 1 1勝3敗 5勝4敗 0.462
佐田の山 8 9 13 30 1 3勝5敗 5勝2敗 0.533
栃ノ海 9 9 14 32 3 3勝4敗 3勝1敗 0.545
栃光 10 11 13 34 2 4勝1敗 1勝2敗 0.625
豊山 12 12 13 37 6 2勝3敗 7勝2敗 0.643
北の富士 8 10 10 28 2 2勝4敗 3勝2敗 0.455
玉乃島 10 9 11 30 3 4勝4敗 4勝1敗 0.615
琴櫻 10 11 11 32 2 2勝6敗 8勝1敗 0.588
清國 10 9 12 31 2 2勝3敗 5勝4敗 0.5
前の山 9 12 13 34 3 4勝4敗 3勝3敗 0.5
大麒麟 9 12 12 33 2 2勝4敗 2勝4敗 0.333
輪島 12 8 13 33 2 1勝1敗 5勝2敗 0.667
貴ノ花 11 12 10 33 4 1勝1敗 7勝1敗(不戦勝1) 0.8
大受 10 11 13 34 6 3勝4敗 7勝3敗 0.588
北の湖 8 10 14 32 2 2勝3敗 8勝3敗 0.625
魁傑(1回目) 7 12 11 30 1 1勝2敗 4勝1敗 0.625
魁傑(2回目) 14 11 11 36 1 0勝3敗 8勝0敗 0.727
三重ノ海 8 11 13 32 2 3勝2敗 3勝2敗 0.6
旭國 8 12 13 33 2 2勝4敗 5勝0敗 0.636
若三杉 11 11 11 33 3 5勝1敗 3勝2敗 0.727
増位山 8 11 12 31 3 2勝7敗 3勝0敗 0.417
千代の富士 10 11 14 35 4 4勝6敗 5勝0敗 0.6
琴風 9 10 12 31 1 1勝3敗 0勝2敗 0.167
隆の里 10 11 12 33 2 3勝2敗 0勝2敗 0.429
若嶋津 10 12 12 34 3 2勝3敗 2勝1敗 0.5
朝潮 9 14 12 35 3 4勝2敗 7勝1敗(不戦勝1) 0.786
北天佑 11 12 14 37 4 1勝1敗 7勝3敗 0.667
大乃国 9 10 12 31 2 1勝3敗 5勝5敗(不戦勝1) 0.429
北尾 12 11 12 35 4 3勝2敗 8勝2敗 0.733
保志 13 11 12 36 4 対戦なし 10勝5敗 0.667
小錦 10 11 12 33 2 5勝1敗 4勝6敗 0.563
旭富士 10 11 12 33 4 3勝5敗 7勝4敗(不戦勝1)

0.526

※赤字は優勝

四股名は当時の四股名

 

平成以降と比較し、昇進目安は『30勝前後』であり、また3場所間にて『負け越しを喫している』力士も存在する。

現状と比較できない部分も多々あるが、上位戦に目を向けるとやはり勝率にばらつきは存在する。

そして注目すべき点は、今回朝乃山の問題点である『横綱戦未勝利』だが、魁傑(2回目)、保志も横綱戦未勝利である。

魁傑は当時輪島、北の湖のいわゆる『輪湖時代』に2度目の大関取りを目指していたが、輪島とは同部屋のため、対戦する横綱北の湖1人であった。

そして北の湖には3場所全敗したため、横綱戦未勝利となった。

ちなみに1回目昇進時は横綱に勝利しているものの、負け越しあり、合計30勝と現行では昇進不可能と言っても過言でない成績で昇進している。

そして保志(後の北勝海)は当時千代の富士1人横綱時代であり、千代の富士とは同部屋のため、横綱との対戦機会すらなかった。

 

そして逆に横綱に最も勝利している力士が若三杉(後の2代目若乃花)、小錦の2名である。

横綱戦は5勝1敗と完勝しており、若三杉に関して言えば大関戦も勝ち越しているため、上位戦に関して言えば完璧とも言えるレベルである。

しかし3場所合計白星は33勝といわゆる目安と言われる数字『ギリギリ』である。

これは『格下への取りこぼし』を意味する。

仮にこれを大関在位中として考えると、前半戦下位に取りこぼし、後半戦は上位を倒して11勝で終了したという流れである。

この流れを見た時、数年前までならば『稀勢の里』を想像する人が多いのではないだろうか。

もちろん上位を倒すことは大関昇進に関して言えばアピールポイントの一つであり、優勝するためには不可欠なことである。

しかし成績次第では下位への取りこぼしを露呈する結果にもなるのである。

そして琴風だが、勝率は歴代ワーストであり、合計白星も31勝と現行では不可能と言っても過言でない成績で昇進している。

この場所の背景としては『大関不在』が挙げられる。

大関不在のため、ある意味強引に昇進させた結果となっており、今場所の朝乃山と通ずる面もあるが、朝乃山と比較した場合、安定感に大きな差が生じている。

 

そして次に平成以降の大関昇進力士については以下の通りである。

四股名 3場所前 2場所前 直前 合計 3場所三賞回数 横綱 大関 上位戦勝率
霧島 10 11 13 34 4 5勝2敗 7勝2敗 0.75
13 8 13 34 3 1勝0敗 1勝4敗 0.333
貴ノ花 14 10 11 35 1 対戦なし 4勝3敗 0.571
若ノ花 14 10 13 37 4 2勝1敗 2勝1敗 0.667
貴ノ浪 10 12 13 35 1 1勝2敗 1勝0敗 0.5
武蔵丸 8 13 12 33 2 2勝1敗 5勝2敗 0.7
千代大海 9 10 13 32 3 4勝2敗 5勝1敗 0.75
出島 9 11 13 33 3 3勝0敗 4勝1敗 0.875
武双山 10 13 12 35 3 2勝3敗 5勝0敗 0.7
雅山 12 11 11 34 3 3勝4敗 4勝1敗 0.583
魁皇 8 14 11 33 3 4勝4敗 7勝3敗 0.611
栃東 11 11 12 34 2 2勝1敗 4勝3敗 0.6
朝青龍 11 11 12 34 3 2勝1敗 6勝3敗 0.667
琴欧洲 12 13 11 36 4 2勝1敗 5勝2敗 0.7
白鵬 9 13 13 35 3 2勝1敗 6勝4敗(不戦勝2) 0.615
琴光喜 10 12 13 35 2 1勝3敗 6勝3敗 0.538
日馬富士 10 12 13 35 3 2勝2敗 7勝1敗(不戦勝1) 0.75
把瑠都 9 12 14 35 3 1勝4敗 9勝2敗 0.625
琴奨菊 10 11 12 33 3 2勝1敗 4勝4敗 0.545
稀勢の里 10 12 10 32 2 1勝2敗 4勝6敗 0.385
鶴竜 10 10 13 33 3 2勝1敗 8勝6敗 0.588
豪栄道 12 8 12 32 3 4勝4敗 5勝2敗 0.6
照ノ富士 8 13 12 33 4 1勝3敗 6勝2敗 0.538
高安 11 12 11 34 3 3勝4敗 6勝1敗 0.623
栃ノ心 14 10 13 37 5 2勝2敗 2勝2敗 0.5
貴景勝 13 11 10 34 4 3勝1敗 4勝4敗 0.583
朝乃山 11 10 11 32 1 1勝3敗(不戦勝1) 4勝0敗 0.625

※赤字は優勝

四股名は当時の四股名

 

平成以降では、概ね33勝前後で落ち着いている。

平成以降でも後の大横綱である貴ノ花(後貴乃花)は、横綱不在の時期だったため横綱との対戦機会がなく、またその前に大関へ昇進した曙も横綱戦は旭富士戦のみであり、2場所前、直前場所は横綱戦はない。

そして曙は3場所間で大関小錦に3連敗を喫しているため、上位戦は負け越している。

それでも昇進した背景には『下位の力士への取りこぼしの少なさ』がある。

13勝→8勝→13勝と極端な成績ではあるが、下位への取りこぼしが少ないため、好成績を残すことが出来た。

逆に出島は横綱戦3戦全勝、大関戦も4勝1敗で『上位戦勝率歴代1位』の記録を持っているが、3場所合計は33勝に留まる。

これは若三杉同様、下位への取りこぼしが目立つ結果となっている。

出島の場合、直前場所にて優勝を果たしているため、安定感よりも爆発力を売りにして昇進した形である。

出島の前に昇進している貴ノ浪武蔵丸だが、この2名は『同時昇進』を果たした2名である(余談だが大関同時昇進はこの2名が最後)。

合計白星を見ると貴ノ浪が35勝、武蔵丸が33勝であり、さらに貴ノ浪は3場所連続二桁勝利を果たしているため、全てにおいて貴ノ浪の方が優位に見える。

しかし貴ノ浪にとって最大の優位点は『貴ノ花、若ノ花の2大関と同部屋』という点である。

そのため上位戦で目を向けると、武蔵丸の方が対戦機会が多く、またその中でも武蔵丸の方が上位戦勝率は優位である。

大関昇進に関する問題に直結する結果とは言い難いが、今回一応3場所間の三賞の回数も記載している。

その結果を見ても、合計白星が上である貴ノ浪よりも、武蔵丸の方が三賞の受賞回数も多い。

考え方によっては、上位戦が多い中でも3場所間で結果を残したといえる。

しかし若三杉、出島の考え方でいけば下位への取りこぼしとなってしまう。

この辺りの考え方が難しいところである。

そして今回昇進した朝乃山に目を向けるが、横綱戦は土俵上では未勝利とは言え、大関戦は全勝である。

横綱は時代によって人数が異なり(大関にも言えることだが)、場合によっては休場が続いてしまって対戦する機会が与えられないことも多い。

朝乃山は初場所にて白鵬鶴竜が休場したため、対戦する機会がなかった。

どうしてもここは時代背景に左右されてしまうことが多い。

過去にも記載しているが、昇進時の成績と昇進後の成績は必ずしも直結するものではない。

現在の朝乃山の安定感も大関昇進後には、影を潜めるかもしれない。

それとは逆に爆発力に目覚め、いきなり13勝以上を果たすようになるかもしれない。

とりあえず今回の昇進に関しては『安定感を評価した』という点を胸に刻むことが、ファンの解釈として最善ではないかと考える。

ぜひとも朝乃山にはこの昇進問題の批判をかき消すくらいの活躍を見せて欲しいところである。