きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

188. 2020年春場所千秋楽を勝手に語る

6年半ぶりの千秋楽相星決戦となった無観客開催の春場所は、第一人者白鵬が制して44回目の優勝を果たして幕を閉じた。

そして番付予想の方でも記載したが、審判部長が理事長に臨時理事会の開催を要請し、理事長が要請を許可したため、朝乃山の大関昇進がほぼ確定したと言える。

まず優勝争いに関してだが、両横綱ともに持ち味を発揮した。

最後は地力で勝る白鵬が制する形となった。

立ち合いの踏み込みは鶴竜の方が良く、左前ミツも先に引くことが出来た。

しかしそれでも白鵬は慌てることなく、体を開きながらうまく巻きかえ、その後は鶴竜に上手を許さず、白鵬万全の形となって寄り切った。

12日目の正代戦を見たとき、この先どうなってしまうのかと不安視されたが、見事修正を果たすあたり、さすがは第一人者というところか。

そして今場所も白鵬が皆勤すれば、横綱以外の優勝を許さない結果となった。

それにしても44回の優勝は次元の異なるとてつもない数字である。

俗に言う『大横綱』とは20回以上優勝を果たした横綱に称されることが多いが、平成の大横綱の一人である貴乃花の22回に対してダブルスコアとなった。

年内引退説が囁かれているが、まだまだ若手の壁になってほしい。

そして若手はその壁を乗り越えてほしい。

そうやって世代交代していくのが理想の形である。

一方鶴竜だが、最後は地力負けしてしまったが、15日間通じて悪手が見られなかったため良かったと思っている。

昨日も記載したが、全体を通じての相撲内容は白鵬より上に感じた。

この相撲を続けていれば、まだまだ横綱として責務を果たせそうである。

横綱在位としても年齢でも上である白鵬がまだ健在であるため、鶴竜も負けてはいられない。

そして朝乃山だが、貴景勝相手に攻める姿勢を見せて完勝。

立ち合いは貴景勝の当たり、突き押しに対して負けじと突き放し、少し下がったところで左廻しを引くことが出来た。

その後はがむしゃらに攻め、貴景勝も必死に振りほどくが、朝乃山の圧力が勝った。

この一番はどちらの信念が勝るかの勝負だった。

押し相撲の大関の意地よりも、大関昇進を懸ける四つ相撲の朝乃山が勝る結果となった。

朝乃山の大関昇進が事実上決まったわけだが、残念ながらこの昇進に対して批判も多く存在するだろう。

ここ数日ずっと記載しているが、私も今回の昇進に対して完璧に賛成することはできない。

3場所33勝に届いていないことよりも、3場所間に横綱戦未勝利(鶴竜への不戦勝あり)というのが最大の問題点と言える。

しかし上位総当たりの地位で4場所連続二桁勝利を果たしたことは称賛に値するだろう。

ここ数場所で安定感は備わった。

10勝→11勝→10勝→11勝と大関に在位していると仮定するならば、この成績は大関として合格点を上げられる。

あとは『爆発力』だ。

横綱へ昇進するためには、13勝以上を果たす爆発力が必要となってくる。

こちらでも記載したが、朝乃山は優勝した場所を除き、12勝以上の成績を残したことがない。

換言すれば、上位総当たりの地位で12勝以上がないということだ。

今回の朝乃山の昇進は、大関に在位しても恥ずかしくない安定した成績を残せるという点が大きな評価点だろう。

この先求められるのは、優勝出来るための爆発力だ。

朝乃山には大関昇進後、是非とも優勝を果たし、この昇進問題をかき消す活躍を見せてほしいところである。

朝乃山に敗れた貴景勝だが、大関昇進後初めて皆勤負け越しを喫した。

今場所は本当に両極端だった。

白星はほぼ完璧な内容、黒星の大半は最悪な内容だった。

立ち合いの当たりが弱い場面が目立ち、我慢も足りなかった。

この力士は何度も頭でぶちかまし、その中でも冷静に相手を見て独特な間合いからいなしも交えるのが特徴である。

相手に研究されていることもあるだろうが、一から鍛え直す必要があるだろう。

また『太りすぎ』なようにも感じる。

目先のパワーを求めて増量しているかもしれないが、得意の機動力は失われ、膝にも負担がかかる。

場所途中にも膝に違和感がある様子だったため、ある程度の体重コントロールが必要だろう。

出世争いである朝乃山が大関へ昇進し、肩を並べたことで奮起してほしいところ。

前半戦活躍を見せた御嶽海は、終盤戦失速して10勝止まりだった。

20場所連続で上位総当たりの地位に在位しているが、これで二桁勝利は4回目である。

決して多いとは言えず、これが『15日間総合しての御嶽海の実力』である。

1日の爆発力は秘めているが、15日間続かない。

今場所14日目、千秋楽も首位で並んでいたのならば、違う形になっていたかもしれない。

この力士の場合、技術云々よりも、体力向上、精神面の向上が必要だろう。

ここ数場所相撲内容に積極性が見られていた関脇正代は、三役として初めて勝ち越したものの、やや物足りない結果と言える。

3日目に御嶽海と対戦し、この一番が今場所を占う一番になると記載したが、正代にとっては下降線を辿る結果となった。

地力は付けているかもしれないが、まだ『顎を上げる』悪癖は完全に改善されていない。

それに今場所は先場所と比較すると、前に出る圧力もあまり感じられなかった。

来場所以降、修正して積極的な相撲を見せてくれるかどうか。

そして本日その正代に完勝した隆の勝は、今場所でかなり自信を付けただろう。

昨日御嶽海戦も完璧な内容であり、突き押しと右差し速攻が確立されつつある。

本日正代戦での右おっつけも強烈であり、この力士は右が肝である。

来場所は上位総当たりの地位で相撲を取ることになるだろうが、どこまで通用するのか楽しみなところである。

三賞に関してだが、受賞者自体は昨日記載した通り概ね予想できたが、碧山の技能賞には驚かされた。

隆の勝と碧山の賞は逆だと予想していた。

突き押し相撲の技能賞というのは、おっつけの巧さ、力強さを評価されることが多いため、突っ張り主体の碧山の技能賞はあまり想像できないとも言える。

逆に隆の勝は右差し速攻を評価されて技能賞だと思っていたため、本当に意外な結果だった。

そして阿武咲の無条件にも少し驚かされた。

まぁ条件付きでも結果的白鵬が優勝したため受賞となっていたのだが。

最後になるが、無観客開催となった春場所だが、様々な発見があった。

特に千秋楽『出世力士手打式』『神送りの儀式』の2つにおいては普段テレビ中継では観られない光景なため、新鮮だった。

何はともあれ、無事に15日間終えられたことが何よりである。

無観客であっても大相撲ファンの私からすれば、本場所が開催されるというだけで嬉しかった。

そして異様な場所を引っ張ってくれた横綱にも本当に感謝である。

皆様、本当にお疲れ様でした。