番狂わせなく終了した13日目。
立ち合いは左張り差しを選択し、顔に張り手は決まらなかったが、阿炎のもろ手突きをずらす形となり、左の廻しもすぐに引いて圧倒した。
序盤戦の時は白鵬の立ち合いを見て、全盛期と比較すると『高い』『遅い』『軽い』と感じたが、場所が進むにつれ、『速さ』を取り戻したように感じた。
本日も立ち合いの踏み込みスピードが速かった。
それだけで圧倒した内容だった。
昨日3敗へ後退した朝乃山は、琴勇輝相手に落ち着いた内容で白星を掴み、平成以降で7人目となる新三役で二桁を挙げた。
昨日も記載したが、立ち合い引っ張り込んだり、手を伸ばすだけの雑な上手の取り方だけは避けたいところだったが、本日は相手の突っ張りを下から跳ね上げて圧力をかけて圧倒した。
昨日の敗戦を引きずることなく、自分の相撲を取り切ることができた。
とりあえず今場所築き上げた相撲内容が崩れることがなかったためホッとした。
これで朝乃山の年間最多勝が確定した。
場所前にも記載したが、最高位関脇以下が年間最多勝を受賞するのは3回目だが、『最高位小結以下の受賞』は史上初である。
とにかく残り2日間も集中してほしい。
今場所の相撲内容ならば余程の事がない限り負けることはないだろう。
貴景勝ー御嶽海という本来ならば好取り組みである一番は、今場所に限って言えば話題性のない一番となった。
結果は貴景勝の完勝だったが、それよりも御嶽海が酷すぎる。
本当に昨日朝乃山を降した御嶽海と同一人物なのか。
そう思わせるくらい本日の内容は酷すぎた。
これで7敗となり、関脇を維持するためには明日の白鵬戦勝利が絶対条件となった。
小結の北勝富士が負け越しを喫した。
序盤戦の出来からすると、勝ち越しは問題ないと思われたが、小結戦全敗に加え、平幕にも2敗し、同格相手に勝ち切れなかった。
これにより現時点で関脇、小結の枠が1つずつ空いたわけだが、来場所も関脇・小結を3人以上にするのかどうかも注目である。
平幕下位に目を向けると、正代が10勝目を挙げた。
今場所は大勝すると予想していたが、中盤戦に躓き、ギリギリ二桁に到達するのが精一杯かと思わせたが、本日10勝目を挙げた。
終盤戦へ突入してから、もろ差しに拘らず攻める姿勢が見受けられる。
あとは右でも左でも上手を浅く引き付けて攻める相撲が取れたら、上位でももっと活躍できると思うのだが。
私個人としては場所前11勝以上はすると思っていたため、最低でもあと1つは白星を積み重ねて欲しいところ。
幕下に目を向けると、西幕下10枚目照ノ富士が幕下全勝優勝を果たし、10場所ぶりの関取復帰を確定させた。
元大関ということを考えると何一つ驚くことではないのだが、今年の春場所から場所に復帰し、それから順調に番付を上昇させていった。
相撲を見ていると、相変わらず引っ張り込む内容が多く、体格で勝っているような内容ばかりだが、幕下でもそれが通用するというのも相当なセンスと言える。
しかしこの内容で仮に幕内まで番付を戻しても、再び膝の怪我を負うことになるだろう。
来場所十両に復帰するが、この間に相撲内容を変化させる必要があるだろう。
この力士が白鵬のように立ち合いしっかり踏み込んで左前ミツを浅く引き付け攻める相撲を覚えれば、鬼に金棒だろう。
まだ老け込む年齢ではないため、十分修正は可能だ。
怪我の辛さは誰より本人が痛感しているだろうから、ぜひ相撲内容を変化させてほしい。
明日の注目は
『白鵬ー御嶽海』
この一番だろう。
正直本日の内容だけを見たら何一つ期待できるものなく白鵬の優勝が決定すると考えるが、御嶽海としても関脇維持が懸かっている。
昨日の朝乃山戦のような集中力が出せるかどうか。
正直その集中力を引き出すことが出来ても、相手は大横綱のため分が悪いだろう。
大相撲ファンが望むことは『熱戦』だろう。
優勝はほぼ決定したようなものだから、御嶽海は負けるにしてもせめて『御嶽海も善戦したけどさすが白鵬』と思わせる相撲を取ってほしいところである。