本日11日目を終了し、高安の大関陥落が決定した。
昨日割が組まれた時点で高安の四股名が無かったため、昨日の時点で決まってはいたのだが、これで名古屋場所から貴景勝、栃ノ心に続いて3場所連続であり、回数だけで言えば今年4回目の出来事である(栃ノ心が春場所も陥落したため)。
はっきり言えば異常事態だろう。
『自己管理がなっていない』
『最近の大関が情けない』
といった簡単な話ではないだろう。
まぁこの件に関しても語りたいことはあるのだが、本日は題名の通り高安の記録についてである。
高安の大関在位数は今場所で15場所目。
今場所は3勝5敗7休で事実上場所を終え、これにより大関在位中の成績は113勝57敗55休であり、勝率は0.665である。
この勝率は年6場所制となった1958年以降の最高位大関の中で『最高勝率』である。
そして題名の『悔やまれる』ことだが、それは『1場所平均10勝の勝率を下回ってしまった』ことである(1場所10勝平均は0.667)。
過去、大関昇進に関しての記載をしたことがあり、そこでも似たようなことを記載しているが、よく解説者や大相撲ファンの中で『大関は最低10勝』と唱えるものが多いが、最高位大関の勝率は全員それを下回っているのである(過去の記載は25、26、27を参照)。
歴代の最高位大関の勝率を以下にまとめた。
1.高安(0.665) |
10.清國(0.613) |
17.琴欧洲(0.589) |
28.琴ヶ濱(0.549) |
2.琴風(0.658) |
11.貴景勝(0.611) |
20.出島(0.585) |
29.前の山(0.545) |
2.把瑠都(0.658) |
12.北天佑(0.607) |
21.北葉山(0.583) |
30.照ノ富士(0.525) |
4.霧島(0.647) |
13.貴ノ花(0.603) |
22.豪栄道(0.581) |
31.魁傑(0.519) |
5.貴ノ浪(0.645) |
14.豊山(0.600) |
23.旭國(0.579) |
32.増位山(0.500) |
6.小錦(0.637) |
15.千代大海(0.599) |
24.琴光喜(0.576) |
33.雅山(0.496) |
7.若嶋津(0.633) |
16.朝潮(0.592) |
25.琴奨菊(0.571) |
34.大受(0.484) |
8.栃東(0.623) |
17.栃光(0.589) |
26.若羽黒(0.567) |
35.栃ノ心(0.449) |
9.魁皇(0.615) |
17.大麒麟(0.589) |
27.武双山(0.557) |
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※赤字は現役力士
※現役力士は2019年九州場所11日目終了時点の成績
貴景勝は今場所11日目終了時点の成績のため、今後大きく変化するだろう。
大関が9勝で場所を終えた場合『クンロク』と揶揄されることも多い。
クンロクの勝率はちょうど6割であり、その6割以上の成績を残した大関も14人であり半分に満たない。
現役の栃ノ心が歴代ワーストの勝率を残しており、また平成29年初場所の稀勢の里の優勝を最後に大関の優勝が遠ざかっているため、『最近の大関は情けない』という声も多く聞かれる。
それに関しては間違いない事実であるが、勝率を見てみると高安は歴代1位であるため、一概に不甲斐ないという言葉だけで片付けることが出来ないことも事実である。
少し話が逸れたが、私個人としては1人でもいいから1場所平均10勝の勝率を超えたまま大関として引退する力士を望んでいた。
要は『強い大関のまま引退してほしい』ということだ。
高安の場合、まだ引退には早いし、横綱を目指す気持ちで望んで欲しいところだが、今回は大関陥落という残念な結果になった。
それこそ来場所10勝すれば特例復帰が可能である。
昨年の高安は12勝が3回と、まさに最高位大関としては最高の成績だった。
高安にとって必要な物は『優勝』だけであった。
それを目指していた2019年であったが、怪我に泣き、大関陥落となってしまった。
高安にはぜひ大関復帰を果たしてもらい、1場所10勝平均の勝率を再度超えてもらいたいと願っている。