鶴竜が本割で優勝を果たし、名古屋場所初優勝を飾って幕を閉じた2019年大相撲名古屋場所。
鶴竜にとってはそもそも名古屋場所の皆勤が4年ぶりであり、名古屋場所を制覇したことで『4会場制覇』となった。
15日間を通じて、悪手が全く見られなかった。
これに尽きるのではないだろうか。
序盤戦は危ない相撲もあったが、中盤戦以降は立ち合い鋭く、相撲内容に厳しさが増していった。
敗れた友風戦も立ち合い自体は非常に良かった。
年齢は33歳であり、いつ引退がきてもおかしくない年齢である。
鶴竜としては来場所以降も今場所同様、悪手をみせず相撲を取ることが出来るか注目である。
初めての逆転優勝ならなかった白鵬は、15日間総合してみると自分の型になることが圧倒的に少なかった。
それでも勝てるのだから次元が異なると言えばそうなのだが、やはりそれを『15日間続ける』というのはいくら白鵬言えど困難ということである。
相手としても白鵬に組まれては絶対に勝てないということがわかっているため、その結果組むことが出来ないのかもしれないが、白鵬が雑な面も増えていることも事実である。
年齢は鶴竜よりも上の34歳であり、力量の衰えは仕方ないところだが、『筋力』という面における力も落ちている印象は受ける。
それが顕著であるのが、逸ノ城戦である。
こちらでも記載したが、がっぷりになっては自信がないため、もろ差し狙いでいったのか。
詳細は不明であるが、相四つ相手には無類の強さを見せつけていただけに、あの負け方が気になるところである。
来場所以降の巻き返しを期待したい。
本日の取り組みで目を引いたのは『北勝富士ー遠藤』だろう。
立ち合いから遠藤が踏み込み良く攻め込んだが、北勝富士が押し返し、右おっつけから横に崩し、そのまま右ハズ押しで攻めていくが、これを遠藤はよく残した。
遠藤としては逆の右四つであったが、組止めた時点である程度の余裕が生まれただろう。
最後は北勝富士が我慢できず引いてしまって遠藤が寄り切った。
このあと阿炎が勝ち越しを決めたため、三役争いが難しくなった(予想は番付予想を参照)。
三賞だが、敢闘賞 照強、殊勲賞 友風、そして技能賞 遠藤には文句のない結果である(遠藤は条件付きだと思っていたので無条件は意外だった)。
腑に落ちないのが技能賞 炎鵬と条件付き(白鵬優勝の場合)殊勲賞 琴奨菊である。
まず炎鵬に関してだが、確かに小さい身体で『魅せる相撲』であったことは事実だが、極論を言うとこれでは『炎鵬の場合勝ち越せば受賞』みたいな流れとなってしまう。
過去に舞の海が技能賞を5回受賞しているが、これに近い感覚である。
私個人としては『上位で結果残す上での技能相撲』だと考えているため、炎鵬の技能賞にはあまり納得いかなかった。
それ以上に納得できないのが、条件付きの琴奨菊である。
もちろん昨日の白鵬戦は殊勲に値する内容である。
しかしそれでは逸ノ城があまりにも不運である。
本日解説の北の富士が『逸ノ城は負けた内容が良くない』と発言していた。
確かにそれはそうだが、それが議論の対象となるのは敢闘賞だろう。
『逸ノ城が白鵬に勝った』
この事実は何も変わらないし、しかも14日目終了時点ですでに勝ち越しを決めていたため、条件は十分に果たしている。
不可解であったが、結果として白鵬は優勝出来なかったため杞憂に終わった。
今場所15日間を通じて、立ち合いの不成立が目立った。
中には十分合わせているのに、行司が無理に止めているのではないかと思わせる取り組みもあった。
とにもかくにも、どの力士も最後の仕切りにおけるルーティンが長すぎる。
少し前までは栃煌山くらいだったが、最近ではほとんどの力士がそうである。
白鵬も最後に腰を下ろすのが遅いため、碧山戦では『無駄な心理戦』となってしまった。
本来ならばいつでも立ち合う気持ちを持っていなければならない。
これは講習会を開催して改善すべきだと思う。
先場所の反省を活かしたのか、物言いの説明は比較的良かったように感じた。
今場所は史上初の4大関休場となり、両横綱が引っ張る形となったが、この両横綱を脅かす若手がまだいないという事実も見られた。
若手の台頭は見られるが、脅かすまでに至っていない。
来場所貴景勝は関脇へ陥落する。
誰が抜け出してくるのだろうか。
今場所もこれにて千秋楽。
大相撲ファンの皆様も15日間観戦お疲れ様でした。