きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

57. 栃ノ心が特例復帰場所にて唯一達成した記録

先場所大関で2場所連続負け越しを喫したことにより、今場所関脇へ陥落した栃ノ心

1969年名古屋場所より、現行の『2場所連続で負け越しで関脇に陥落、直後の場所で10勝以上を挙げた場合(厳密には取り組み日数の2/3以上)、特例で復帰できる』という規定が定着した。

年6場所制となった1958年以降、大関を陥落した力士は栃ノ心を含め、19名・22例である。

そして陥落直後の場所の成績は以下の通りである。

四股名 陥落決定場所 翌場所 備考
若羽黒 1961.九 9勝6敗 当時特例復帰制度なし
前の山 1972.春 7勝8敗  
大受 1974.夏 9勝6敗  
魁傑 1975.九 7勝8敗 後に大関復帰
三重ノ海 1976.夏 10勝5敗 特例復帰
魁傑 1977.秋 6勝9敗  
琴風 1985.夏 全休  
霧島 1992.九 全休  
小錦 1993.九 2勝13敗  
貴ノ浪 1999.九 10勝5敗 特例復帰
貴ノ浪 2000.夏 7勝8敗  
武双山 2000.名 10勝5敗 特例復帰
出島 2001.名 5勝10敗  
雅山 2001.秋 全休  
栃東 2004.夏 10勝5敗 特例復帰
栃東 2005.九 11勝4敗 特例復帰
千代大海 2009.九 0勝4敗 引退
把瑠都 2012.九 8勝7敗  
琴欧洲 2013.九 8勝7敗  
琴奨菊 2017.初 9勝6敗  
照ノ富士 2017.秋 0勝5敗10休  
栃ノ心 2019.春    

若羽黒は当時現行の特例復帰の規定はないが、参考までに記載している。

特例復帰にて大関復帰した力士は三重ノ海貴ノ浪武双山栃東(2回)の4名5回である。

前置きが長くなったが、今場所栃ノ心のみが達成した記録とは『序盤無傷の5連勝』である。

 

『初黒星を喫した日』を以下のグラフにまとめた。

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初黒星を喫した日

全休力士を除いているため全18例であるが『半分以上が2日目まで』に黒星を喫している。

ちなみに特例復帰成功者5例は皆『初日から2連勝以上』である。

そして初日から2連勝して、特例復帰できなかった力士は『大受』『琴奨菊』のわずか2名であり、当時規定のない若羽黒を含めても3名である(面白いことにこの3名は皆9勝に終わっている)。

まず特例復帰の場所にて初日から2連勝としているケースが少なく、且つ『たかが初日から2連勝』が『されど2連勝』となっており、特例復帰の場所においては重要な問題となってくることに驚きである。

そのため過去の事例からすると、栃ノ心の初日から5連勝は『次元の違う好成績』と言っても過言ではないのである。

そして全体の黒星を喫した日の内訳は以下の通りである。

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黒星内訳

最も黒星を喫することが多い日は『5日目』であり、栃ノ心は過去最大の関門を突破したことになる。

関脇という番付は、周りの横綱大関の人数によって対戦日の変動が激しい番付とも考えられ、序盤から上位戦が組まれる場合もあれば、中盤~終盤戦に組まれることもある。

今場所の栃ノ心はどのあたりで上位陣と割が組まれるだろうか。

今場所は貴景勝が途中休場し、栃ノ心より番付上位は東関脇 逸ノ城を含めても4名のため、上位戦全敗しても大関復帰の可能性はある。

そして今場所の栃ノ心はその勢い・力量が十分に備わっている。

 

余談だが以下に『特例復帰に関する唯一の記録』を記載する。

三重ノ海大関陥落を経験しながら横綱へ昇進

栃東が特例復帰による2回目の大関復帰

栃東が特例復帰の場所にて11勝

千代大海が特例復帰の場所にて引退

 

そして栃ノ心が初日から5連勝である。

栃ノ心はさらなる記録を更新するのか。

それとも突如衰退してしまうのか。

はたまた『特例復帰場所にて優勝』という大偉業を達成するのか。

 

明日から中盤戦が始まるが『6日目』は過去のデータでは『最も黒星の少ない日』となっている。

中盤戦以降の栃ノ心に注目である。