きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

27. 大関に関する私案(後編)

中編では『大関昇進に関して』記載をした。

そして昇進後は『大関を維持できる力量』が問われることになる(厳しいことを言えば、本来ならばさらに上を狙う意欲を持たなくてはならないが。)。

しかし大関に在位する力士に対し、ファンの間では多くの意見が飛び交っている。

大関は2場所連続負け越しを喫しない限り、番付を維持することが可能である。

そのため極論、大関は『年間24勝で維持可能』なのである。

例を挙げると
0→8→0→8→0→8
という具合である。

仮にこれを関脇の地位で考えた場合、幕下へ陥落してもおかしくない成績である。

もちろん『番付運』『その力士の力量』などを加味した場合、そんな単純計算には至らないが、可能性としては0ではないということである。

かつてこの成績に近い力士が照ノ富士であり

3→8→2→8→4→8
という年間僅か33勝で大関を維持した。

これでは大関の力量を問われても仕方ないことである。

しかし『在位する』ことの難しさは『昇進問題と必ずしも直結しない』ことにある。

何度か例に挙げている豪栄道だが、『33勝未満』『連続二桁勝利なし』と昇進に対して批判し、その結果現在の大関在位中の力量・安定感を目の当たりにし『やはり昇進させない方が良かった』とある程度批判することができる。

同様に増位山は31勝で昇進したが、三役でも勝ち越しが少なく、大関昇進後も勝率は5割で短命大関となってしまった。

以上2例は『昇進前の成績』と『昇進後の成績』が直結していると言えるが、琴風は31勝で昇進しながら、最高位大関の中で『大関勝率』『二桁勝利場所割合』がともに歴代1位である。

さらに遡れば、北の富士は28勝で昇進しながら後に横綱へ昇進し、優勝回数も10回を数える程である。

これらとは逆に『昇進前の成績は十分』でありながら『昇進後低迷』するパターンも存在する。

それが以下の4例である。
大受(34勝):10→11→13
・魁傑(36勝):14(優)→11→11
雅山(34勝):12→11→11
栃ノ心(37勝):14(優)→10→13
※魁傑は2回目昇進時の成績

4名ともに昇進時の成績は『爆発力』『安定感』ともに文句なしである。

しかし栃ノ心以外の3名は昇進後低迷し、勝率・在位数ともに下位レベルである。

そして現役の栃ノ心も昇進後22勝20敗であり、来場所も角番と低迷している。

昇進しただけで満足してもらっては、協会の看板に傷がついてしまう。

前置きが長くなってしまったが、最後となる後編では『大関在位に関して』の私案を記載していきたいと思う。

私案は以下の通りである。

大関陥落の条件】
①もしくは②の基準に当てはまる場合、大関の地位を陥落する。

①2場所連続負け越しを喫した場合。

②6場所連続10勝未満の勝ち星の場合。

【角番に関して】
負け越した翌場所を角番とし、角番脱出には9勝以上を必要とする。
また8勝の場合、翌場所も大関の地位を確保できるが、角番自体は継続する。

大関特例復帰に関して】
大関から関脇の地位へ陥落し、陥落直後の場所で場所の3分の2以上の勝ち星を挙げた場合、翌場所特例にて大関へ復帰できる。

陥落条件①と特例復帰に関しては現在と同様である。

しかし新たに②を加え、そして角番に関しても大きく変化を加えた。

順序が逆になるが、まず角番に関して説明する。

現在の大相撲では上記の通り、2場所連続で負け越さない限り大関の地位を確保できる。

しかしこれでは甘すぎるのが明白だろう。

そのため完全に脱出するためには9勝とし、8勝では来場所も角番という形にした。

この条件を見て中には『それでも楽勝だろう』『そこまで厳しくない』という声も挙がるかもしれない。

解説の中にも『大関は最低10勝』と発言する者も多く存在する。

そして一桁成績で終えた大関に対して『ハチナナ』『クンロク』と揶揄する者も多い。

しかしまず周知していただきたいことがある。

2019年初場所終了時点で、1958年以降に誕生した最高位大関は34名であり、その勝率の平均は『0.586』となっており『クンロク』にすら届いていないのである(9勝平均は0.600)。

ちなみにクンロクを越えている力士は34名中13名と半分にも満たないのである。

そして10勝平均は『0.667』となるが、これを越えている力士は『現役力士の高安のみ』である(高安は0.686)。

そのため引退した最高位大関の中に10勝平均を越えている力士は存在しない(最高は琴風と把瑠都の0.658)。

如何に『大関は最低10勝』という発言が机上の空論であるかを物語るデータである。

言い方は悪くなるが『大関を維持できる』力士の力量などこの程度であり、大関時代に好成績を残す力士は基本横綱へ昇進するのである。

もちろん中には『大関以上横綱未満』の成績を残した力士も存在する。

しかしそれはほんの一握りである。

話が少し逸れたが、角番の完全脱出は9勝で十分だと考える。

とはいえさすがに一桁で安定する大関など誰も納得しないだろう。

そのため②を付け加えた。
これにより少なくても1年に1回は二桁勝利を挙げなければならない。

机上の空論になりつつある『最低10勝』のシステムをここで取り入れた。

最高位大関の多くが、晩年は一桁勝利ばかりとなる。
その光景を多く目にしている。

この頃になると『横綱を目指す意欲』はまるで見られず『大関にすがる光景』ばかり目につく。

正直私はこの光景を『醜い』と考えている。

横綱大関は『引退の美学』もしっかり考えていただきたいと思っている。

そういう意味で②は晩年の大関に対して有効であると考える。

以下に例を挙げる。
A:7→8→8→9→7→10
B:7→8→9→7→9→9

あまり関係ないがA、Bともに年間49勝。
そして両者ともに負け越した翌場所は8勝のため、翌場所も角番が継続される。

3場所目にてBは9勝を挙げたため脱出、Aは再度継続。

4場所目にてAは角番脱出。

Bは4場所目にて負け越し、翌場所9勝して角番脱出するも、6場所目でも10勝以上挙げることが出来なかったため、翌場所関脇へ陥落。

Aは5場所目に負け越し、翌場所角番を10勝で脱出したため、条件の①、②をともにクリアして翌場所も大関を維持。
といった流れである。

晩年大関ならば大いに考えられる光景だし、晩年でなくても苦戦している大関ならば見受けられる光景である。

以上を持って3部に渡って記載した『大関に関する私案』を終了する。

正直まだまだ語りたいこと、紹介したいデータは多くあるのだが、話が逸れることも多いのでここまでにしようと思う。

近い将来か遠い将来か。
私が生存している間に、協会は何か提案するのだろうか。

基本協会には多くを期待していない。

はてさて…