平成最後の初場所(東京場所としても最後)。
序盤で2横綱1大関が引退&休場で不在となり、残り2大関も不調の中、『白鵬全勝なるか?』という空気が一変、玉鷲が中盤戦から無傷で突っ走り、見事初優勝を果たして幕を閉じた2019年大相撲初場所。
2016年九州場所から遅咲きながら上位へ定着し、横綱、大関を降すこともしばし見受けられた。
しかし上位で11勝しても三賞を貰えない、前頭筆頭で9勝を挙げても三役へ昇進できないなど不運続きな力士が快挙を為し遂げた。
場所前、玉鷲の優勝を予想していた者は、余程の玉鷲信者でなければいなかっただろう。
序盤から比較的動きが良いとは言え、そのくらいはある程度想定内だった。
そのため、より動きの良い貴景勝、御嶽海には防戦一方で敗れていた。
しかし『優勝』に関して問われると、正直それは縁のない力士だと感じていた。
私の場合、白鵬に勝った12日目終了時点、さらには翌日単独トップに立った時でさえ、どこかで躓くと考えていた。
13日目~千秋楽。
正直立ち合いは全て後手であった。
それでも腕を良く伸ばし、相手をうまく対処して、見事優勝を果たした。
上記の通り、番付運、三賞運がなかっただけに喜ばしい優勝である。
今場所の優勝をきっかけに、来場所以降は大関昇進へ足固めの場所となるだろう。
優勝同様、私は玉鷲に対して『大関昇進』も無縁な力士だと考えている。
再び私の予想を覆すことが出来るかどうか。
今場所注目されていた貴景勝だが、本日の一番だけに限って言えば最悪だった。
昨日記載したが、引いて呼び込む形となってしまった。
この敗戦により、来場所での大関昇進が消滅したとのことだが、場所全体で見ると先場所の優勝がフロックではないことを証明したと思う。
6日目栃煌山に敗れた内容を見ると暗雲が立ち込めたが、連敗をすることなく白鵬を降して二桁勝利も挙げた。
腐らずこの内容を続けていけば、来場所も良い結果を残せる可能性は高い。
この敗戦をバネに来場所励んでほしいところ。
再出場してきた御嶽海が史上初となる『休場しながら三賞受賞』を果たした。
元々地力はあり、そして今場所は爆発力も見せた。
途中休場が残念であったが、とにかくまずは怪我の治療に努めることだろう。
両大関に関してだが、13日目の大関対決で敗れた方が負け越すと予想していたが、両大関ともに9勝で場所を終えた。
とりあえず勝ち越して今場所はそれで良いとしても、この先もこの内容が続くならばかなり厳しい立場にある。
高安は左四つの精度を磨くことで、安定感が増すと考える。
立ち合いのかち上げは腰高で効果が半減しており、序盤戦いなしに大きく崩れる場面も多く見受けられた。
左四つの精度を磨き、取りこぼしを減らすことが優勝へ近付くための鍵ではないだろうか。
大関に昇進して10場所。
平均成績は大関として高水準だが、13勝以上を果たす力量があるかどうか問われると、不安定であるため信用できない。
来場所以降、修正をしていけるかどうか。
豪栄道は序盤戦の時から記載していたが、特別余計なことをせずただ単に力負けしていた。
だから何とか勝ち越しはいくだろうと予想していたが、そこには到達することが出来た。
豪栄道は32歳と俗に言う『ロクイチ組』の一人で稀勢の里と同い年である。
玉鷲が34歳で初優勝を果たしたとは言え、32歳は力量が衰える年齢である。
型にハマれば貴景勝を圧倒することが出来る力量は持ち合わせているため、立ち合いの精度、速攻を磨くことが重要だと思う。
また上位陣では稀勢の里、高安の陰に隠れがちだが、豪栄道も相当脇が甘い。
左前ミツを浅く引きつけることに加え、右を差し負けないことが重要だろう。
これらを踏まえると世代交代の波が押し寄せているようにも感じるが、初優勝を果たしたのは34歳 玉鷲である。
幕内全体でみると若手力士は見受けられるが、上位である程度安定して成績を残せる力士は御嶽海、貴景勝だけである。
逸ノ城、正代、豊山、朝乃山、阿炎、阿武咲など名が挙がるが、そもそも逸ノ城、正代以外はほとんど上位圏外である。
そして逸ノ城は序盤2横綱2大関を降しながら、終わってみれば6勝止まりである。
本当の意味での世代交代はまだまだ先になりそうである。
白鵬に関しては別途記載したいと思う。