きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

7. 早熟でありながら晩成。ファンに喜怒哀楽を引き出させる最高の力士 稀勢の里。

2019年1月16日水曜日の午前9時頃。

仕事に取りかかろうとした際、ふとテレビに目を向けた瞬間『稀勢の里引退』の文字を目にした。

率直な感想は『やっとしたんだ』だった。

2017年九州場所9日目、宝富士に敗れたときからいつ引退届けを提出しても驚かない自信はあった。

そして案の定驚きはしなかった。

しかし寂しさは存在した。
いや、寂しさという言葉だけではうまく表現できない。

10代で幕内に昇進し、小結まではある程度順調に出世を果たした。

三役に定着することにやや苦戦を強いられたが、2009年夏場所に上位圏外であるが13勝を果たした。

そして翌場所、朝青龍を降して7勝2敗とし、いよいよ覚醒かと思わせたが、その後3連敗して終わってみれば9勝6敗だった。

その場所限りで私は稀勢の里に期待することをやめた。

その2年後、白鵬の連勝を63でストップさせた。

それでも私は再び期待することはなかった。
現に大関に昇進したのは1年先のことであり、しかも甘めの昇進だった。

大関昇進以降は、優勝に中々届かず期待を裏切り続けた。

初日から連勝を重ねても白鵬に勝てず、優勝をさらわれる。

11日目終了時点、星の差2つで単独トップに立っても平幕に優勝をさらわれる。

優勝次点12回というのがそれを示している。

それでも次は白鵬の連勝を43でストップさせる。

時に脆く、時に強者を圧倒する不思議な存在。

2016年春場所夏場所名古屋場所と3場所連続で優勝次点。

この頃から決して期待しているわけではないのだが、それでもますます『魅入ってしまう存在』となってしまった。

2017年初場所、ついに初優勝を果たした。
稀勢の里がついに殻を破った瞬間だった。

しかし束の間、翌場所13日目に大怪我を負ってしまった。

千秋楽、優勝決定戦は後世に語り継がれる一番となったが、代償は大きかった。

私自身、その場所無理するのは良いとして、その後長期全休をしなかったことが問題だと思っていた。

『期待の裏切り』
『逆の意味での期待の裏切り』

ファンに対してこれだけ喜怒哀楽を引き出させる力士はもう存在しないのではないだろうか。

記録を見ると間違いなく最弱横綱である。

しかし記憶には大横綱にも劣らない程残る存在であった。

ありがとう稀勢の里
本当にお疲れ様でした。