きょうへいくんの大相撲日記

幼少期より大相撲を愛し、勝手に語ります。

634. 2023年春場所11日目を勝手に語る

WBCで日本代表が優勝を果たし、大いに盛り上がっているが、大相撲春場所も本日より終盤戦へ突入した。

そして終盤戦突入早々、展開が変わった。

全勝の翠富士、2敗の琴ノ若、遠藤が敗れた。

まず全勝の翠富士から。
ついに連勝が止まった。
終盤戦以降、誰が翠富士を止めるのかという所も注目であった。

翠富士自身、昨日終了時点で後続とは星の差2つとなり、少しは優勝がちらついていたと思う。

しかし本日の相撲内容は翠富士云々ではなく、若元春が厳しい相撲を取ったように感じた。

若元春が立ち合い右かち上げを選択し、これが効果的だった。

左を差して翠富士の上体を起こし、翠富士が苦し紛れに肩透かしにいくところをしっかりと体を寄せてきた。

翠富士としては若元春の左四つはもちろん警戒していただろう。
しかし予想以上に若元春の立ち合いが激しかったため、面を食らった部分もあったか(本人のコメントではかち上げは警戒していたとのことだが)。

今場所初黒星を喫したが、翠富士自身今までの場所の初黒星とは色々な面で意味合いは異なるだろう。

優勝を意識しているのならばこの先固くなる可能性も十分考えられる。

ここまで翠富士は力強い相撲も見せているが、元来の巧さ、速さを主体に勝負している。
身体が固くなってしまっては速さを失うことになってしまう。

明日以降も役力士との割が続くだろう。
気持ちを切り替えてこの先固くならずに挑めるかどうか。

翠富士が敗れたことにより、星の差1つとなった大栄翔。

高安との熱戦を制したわけだが、目の前で翠富士が敗れていなければあそこまでの相撲取れなかったのではないかと思わせる内容だった。

大栄翔の執念を感じさせる内容だった。
危ない場面を何度も凌ぎ、それを白星に結び付け、先頭と星の差1つとした。

まだ翠富士との直接対決が残されているため、大栄翔としては良い流れになったか。

2敗琴ノ若北勝富士相手に不覚を取った。

正直かなりもったいない一番だった。
北勝富士の当たりを止めて、右が覗いたが、そこで十分に形を作らずに攻めてしまった。

ここ数日充実した内容で星を積み重ね、そして翠富士が敗れたことで星の差1つにするチャンスを不意にしてしまったのは残念である(厳密に言えば琴ノ若の方が先に土俵へ上がっているため結果論ではあるが)。

そして昨日苦手の正代を下して2敗を守っていた遠藤は豊昇龍の豪快な投げに屈した。

遠藤は立ち合い動いて廻しを狙っていたのだろうか。
結果的に中途半端となってしまい、持ち味をなにも発揮することが出来なかった。

それこそ翠富士が敗れたのを目にして、変に意識してしまったのだろうか。
遠藤らしくない相撲だった。

翠富士が敗れたことにより、豊昇龍、霧馬山の3敗の両関脇にもチャンスが生まれてきた。

豊昇龍は上記の通り遠藤を豪快な上手投げで下したが、相手の変化に動じなかった。

霧馬山は合い口の悪い明生が相手だったが、冷静に対処した。

そして出場している力士の中で番付最上位である若隆景は、星の上ですでに優勝には届かない状況だが、明日は翠富士と割が組まれた。

若隆景としてはここでしっかり存在感を示したいところだろう。

若隆景は小兵力士相手に相撲を取るのがうまい力士である。
翠富士としてもかなりやりづらい相手になるだろう。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー霧馬山』
関脇同士の一番である。

上記の通り、両者ともに厳しいながらも優勝の可能性を残している。
そして両者ともに相撲に安定感が出てきたため、豊昇龍は6連勝、霧馬山は4連勝としている。

霧馬山にとっては大関への足固めのために二桁に乗せることはもちろんのこと、1つでも多く白星を積み重ねていきたいところだろう。

負けた方は優勝争いから完全に脱落と言って良いだろう。
どちらが生き残るのか。

2日程前からこの時点で3敗の力士は厳しいと記載していたが、翠富士が敗れたことで翠富士との直接対決を残している力士にはチャンスが生まれてきたか。

とはいえ役力士の3敗勢はまだ役力士同士の割が残されているため、かなり厳しい状況であることに変わりはない。

翠富士が終盤戦以降、厳しい対戦相手が待っている一方、役力士にも厳しい対戦相手が待っている。

誰一人楽な状況ではないが、この先まだまだ展開が変わりそうな予感がする。

はてさて…

633. 10日目で単独先頭且つ星の差2つ

大相撲春場所は10日目を終了し、明日から終盤戦へ突入する。

明日はWBCの決勝戦があり、野球界は相当盛り上がりを見せているが、大相撲も優勝争いが佳境を迎える終盤戦である。

平幕の翠富士がここまで10戦全勝とし、さらには後続力士との差を2つに広げている。

現状だけを考慮すれば俄然翠富士が有利な展開だが、翠富士はこの先役力士との割が立て続けに組まれるため、一筋縄にはいかないだろう。

さて今回のように10日目で単独先頭且つ星の差2つの展開は過去に何回あるのだろうか。

年6場所制となった昭和33年以降で見ると、今回で『37回目』である。

この内、平幕力士で該当するのは今回で『3回目』である。

昭和33年以降今場所までで全390場所のため、390場所中3場所と考えると相当珍しい出来事と言えるだろう。

過去36回の番付の内訳は以下の通りである。

当然と言えば当然だが、過去このような展開になる場合、横綱が単独先頭というのが大半である。6割以上を占めている。

ちなみに過去36回の内、単独先頭の力士が優勝を果たした回数は『34回』である。

言い換えればここから逆転したケースはたったの2回に留まる。

如何にここから逆転することが難しいかを証明する回数であるが、過去の2回の詳細は以下の通りである。

場所

単独先頭力士

後続2差力士

平成31年初場所

白鵬10勝(10勝4敗1休)

玉鷲(13勝2敗 優勝)

千代の国(8勝3敗4休)

令和3年春場所

高安9勝1敗(10勝5敗)

照ノ富士(12勝3敗 優勝)

朝乃山(10勝5敗)

翔猿(10勝5敗)

千代の国(8勝5敗2休)

※令和3年春場所の次点力士は碧山(11勝4敗)である。

 

2回とも比較的最近の出来事である。

1回目の平成31年初場所白鵬が単独先頭且つ星の差2つとし『いつもの白鵬独走パターン』に突入したかと思われたが、11日目から御嶽海、玉鷲貴景勝と3連敗し、14日目から途中休場となり、玉鷲が見事逆転優勝を果たした。

2回目の令和3年春場所は小結高安が単独先頭且つ星の差2つとし『念願の初優勝』が期待されたが、終盤戦大崩れしてしまい、結局優勝どころか次点の成績にも満たない結果となった。

この場所は結果的に逆転優勝を果たした照ノ富士にも勝利していたただけにもったいない場所であった。

 

そして今場所の翠富士のように平幕力士で該当する過去2回の詳細は以下の通りである。

場所

単独先頭力士

後続2差力士

平成12年春場所

貴闘力10勝(13勝2敗 優勝)

曙(12勝3敗 次点)

武双山(12勝3敗 次点)

貴乃花(11勝4敗)

武蔵丸(11勝4敗)

雅山(11勝4敗)

平成13年秋場所

琴光喜9勝1敗(13勝2敗 優勝)

栃東(12勝3敗 次点)

武双山(10勝5敗)

朝青龍(10勝5敗)

旭天鵬(9勝6敗)

1回目は史上初の幕尻優勝にもなった貴闘力だが、終盤戦から役力士(横綱2名、関脇2名、小結1名)と割が組まれながらも何とか逃げ切って優勝を果たした。

 

2回目の琴光喜は上位圏内であったため、序盤戦~中盤戦に役力士との対戦はほとんど終えている状況だった。

結果このまま独走し、14日目には優勝を決定させた。

 

今場所の翠富士は上位圏外のため、この先役力士との割が組まれていく。

横綱大関不在とはいえ、関脇・小結にも強敵は多い。

10日目で単独先頭且つ星の差2つとなったときの優勝の確率は『約94%』であるが、この先の翠富士の相撲に注目である。

632. 2023年春場所10日目を勝手に語る

WBC日本代表の準決勝サヨナラ勝ちの興奮冷めやらぬ中、春場所は本日で中盤戦が終了。

翠富士が勝ち、星の差1つで追っていた大栄翔が敗れ、星の差2つで終盤戦へ突入することになった。

それにしても翠富士の快進撃が止まらない。
本日から役力士と割が組まれ、その幕開けとなる翔猿戦。

今場所の快進撃がそう思わせるのか、翠富士が右四つに組み止めた時点で思わず勝負ありと感じてしまった。

小兵力士でありながら胸を合わせる形を作ることで安心して見ていられるという不思議な光景だった。

今場所の快進撃、そして翔猿も小兵力士であることも影響しているだろうが。

役力士が相手でも怯むことなく、むしろ翠富士の方が完全に強いと思わせる相撲内容だった。

こうなると誰が翠富士を止めるのかに注目が集まるだろう。
終盤戦へ突入しても快進撃は続くのか注目である。

1敗大栄翔が豊昇龍相手に良いところなく敗れてしまい、2敗へ後退した。

合い口の悪い相手であり、本日も豊昇龍の張り差しで当たりを止められてしまい、突っ張ることも出来なかった。

ここ2日間、素晴らしい内容で完勝していただけに残念であるが、豊昇龍の状態も上がってきていたというところか。

大栄翔としては星の差2つとなり、かなり厳しい展開ではあるが、まだ翠富士との直接対決が残されているため、とにもかくにも切り替えていくしかない。

どこで翠富士と割が組まれるかは不明だが、これ以上星を落とすわけにはいかない。

2敗の琴ノ若が力強い相撲で阿炎を下して勝ち越しを決めた。
阿炎の突っ張りに全く下がらず、逆に圧力をかけて圧倒した。

ここ数日かなり充実した内容であり、この先も期待を寄せたくなる相撲である。

大栄翔同様、翠富士と割が組まれるまではこのまま白星を積み重ねていきたいところである。

その他平幕2敗力士では遠藤が正代を下して2敗を守った。

昨日記載したが、苦手の正代戦であり、さらには正代を苦手としているため勝ち目は薄いと思っていた。

相撲内容も正代に左を差されて寄られた瞬間『やっぱりこうなったか』と思ったのだが、やはり好調力士はただでは終わらないのか。

元々土俵際でうまく回り込む事が多い遠藤ではあるが、うまく土俵際で逆転のすくい投げを決めた。

先場所こそ勝ち越してはいるが、ここ数場所は上位圏外でも負け越すことが増えており、正直力の衰えを感じさせていたのだが、今場所は要所で巧さを見せている。

かつての期待度からすればこの地位ならば当然とも言えるかもしれないが、とにもかくにも遠藤の活躍は喜ばしいことである。

昨日も記載した究極のタラレバだが、翠富士との直接対決に勝っていればという思いもあるが、明日は豊昇龍と割が組まれたため、遠藤らしい相撲技術の高さを活かした相撲を取ってほしいところである。

2敗高安が新入幕の金峰山に不覚を取った。
立ち合いで当たり負け、その後も劣勢に回り、叩いて墓穴を掘ってしまった。

ここで敗れることにより、優勝争いからは脱落と言っても過言ではない。

また新入幕相手に完敗したことにより精神面も危惧される。
それは今場所だけでなく、来場所以降も。

高安は一度崩れると誰が相手でも勝てないと思わせるほど停滞してしまうことがある。

何とか切り替えてこの地位ならば最低でも二桁は勝ってほしいところだが。 

明日の注目の割は
『若元春ー翠富士』
この一番である。

今場所の若元春はある意味では最も地力をつけている印象を受ける。

左四つにさえ組めば負けないと言っても過言では無いほど左四つ組めば安定しているし、7勝3敗と結果も残している。

翠富士としては左四つを警戒するのはもちろんのこと、離れて相撲を取るのかそれとも中に入っていくのか、どのように攻めていくのか注目である。

場所前全く想像していない形で終盤戦へ突入していくが、上記の通り誰が翠富士を止めるのか注目である。

役力士の意地が試される終盤戦となるが、翠富士としては仮に敗れた場合、そこから切り替えていくことが出来るかどうか。

当然だが翠富士が敗れたとき、場所は再び動き出すだろう。

その時2敗力士は食らいついていけるかどうか。

終盤戦も目が離せない。

631. 2023年春場所9日目を勝手に語る

本日より後半戦へ突入した春場所だが、平幕全勝の翠富士の勢いは止まらない。

同じく小兵力士(まぁ宇良は小兵とは言い難い身体になってきているが)の宇良相手に反応良く対処した。

密着する展開から我慢して、相手が引いてきたところをすかさず前に出た。

好調なだけあり、勝機は逃さないといった内容だった。

明日から役力士及び上位圏内との割が組まれるが、変わらず好調を維持できるかどうか。

1敗大栄翔は完璧な相撲で玉鷲を下して勝ち越しを決めた。

立ち合いの当たり良く、腕の伸び、突っ張りの回転、出足と全て噛み合っていた。

合い口の悪い玉鷲が相手だったが、やはり今場所の勢いの差が出た一番だった。

まだ豊昇龍、霧馬山の関脇との対戦も残されており、厳しい闘いとなるだろうが、どこかで組まれるであろう翠富士との直接対決まではこのままいきたいところである。

優勝争い生き残りを懸けた2敗同士注目の割である『琴ノ若ー正代』は琴ノ若に軍配が上がった。

それにしても熱戦だった。
今場所ここまで一番の熱戦と言っても過言ではなかった。
それだけ両者の持ち味が発揮された一番だった。

正代の攻めも良かったし、それを凌いだ琴ノ若は素晴らしかった。
そしてさらに土俵際最後まで諦めなかった正代の執念を感じさせた。

ほんの紙一重琴ノ若に軍配が上がったが、琴ノ若としては優勝争いに生き残ることが出来たし、二桁のためにも大きな白星を手にした。

大栄翔戦は終えているため、優勝争いという点では厳しいかもしれないが、このまま2敗で食らいついていけばチャンスはあるだろう。

連敗中の高安が碧山を下して連敗を2で止めた。

何度も苦杯を舐めさせられている碧山相手に迷うことなく左差し速攻で寄り切った。

翠富士戦を終えて星の差2つのため、現状優勝は厳しいだろうが、とにもかくにも白星を積み重ねていくしかないだろう。

関脇陣が落ち着いてきたか。
本日も安泰である。

若隆景は5連敗していた時とは別人のように攻める相撲で4連勝。

元々中盤戦以降に白星を積み重ねる傾向にあるため、今場所もある意味ではいつも通りといったところか。

あまりにも5連敗がもったいなく感じるが、この先若隆景と割が組まれる力士は要注意だろう。

豊昇龍が翔猿の変化に慌てず冷静に対処した。
地に足ついてきた様子であり、何だかんだ6勝している辺り自力がある証拠か。

霧馬山は長い相撲の末、竜電を下して6勝目。
途中胸が合う展開になったが、竜電の上手をうまく切り、時間をかけて相手の力を殺していくような内容だった。

本日のように苦労して勝つことにより、今後苦しい場面でも力を発揮することが出来るようになるだろう。

本日目を引いたのが『若元春ー阿炎』の取り組みである。

現状番付は若元春の方が上だが、正直力量としては阿炎の方が上だと感じている。

昨年阿炎が休場する前まで阿炎の力量は現在の3関脇と同等と言っても過言ではないと思っていた。

しかし本日の若元春ー阿炎の相撲を見ると、阿炎の突っ張りが全く通じず、若元春が圧倒する内容だった。

今場所の若元春の相撲を見ると予想以上に力をつけていることがわかるし、本日の相撲を見るとより一層それを感じさせるものだった。

その一方、阿炎が出世争いから後退した印象も受けた。

幕内へ復帰して連続で12勝を挙げて関脇へ昇進し、大関候補の一人であった。

休場で番付を落としたが、その場所で見事初優勝を果たし、やはり力量は関脇クラスだと思わせたのだが、先場所中盤戦以降の失速やここ数日の内容を見るとやや陰りが見えてしまう。

毎場所好調力士が目まぐるしく変わっているため、この先再び阿炎が大躍進する可能性も十分考えられる。
しかし現状事実として上位圏内で二桁の白星がないというのはやはりネックになるか。

阿炎も役力士に出遅れることなく意地を見せてほしいところである。

明日の注目の割は
『豊昇龍ー大栄翔』
この一番である。

大栄翔にとっては突っ張りにくい相手である。
また豊昇龍が調子を取り戻してきているため難敵である。

上記の通り大栄翔としては翠富士との直接対決まではこのまま1敗を維持したいところである。

触れていなかったが、2敗力士の中に遠藤の四股名がある。
地味にと言っては失礼だが、相撲の巧さはさすがといったところである。

期待したい気持ちもあるが、すでに2敗で明日は苦手の正代戦のためかなり厳しい印象を受ける。

究極のタラレバだが、翠富士との直接対決に勝っていればという思いがある。

さて昨日私は『大栄翔>琴ノ若>正代=翠富士』と記載したが、正代が脱落に近いか。

何度か記載しているが、最近は12勝の優勝も多い。
そのため3敗までチャンスがあるとはいえ、現状すでに3敗だとかなり厳しい立場にある。

明日から翠富士が役力士及び上位圏内との割が組まれるが、ここでどのように場所が動くだろうか。

明日で中盤戦が終了するが、どのような形で終盤戦へ突入するのか見物である。

630. 2023年春場所中日を勝手に語る

春場所も中日折り返し。

初日からただ一人全勝の翠富士が碧山を下して8連勝とした。

立ち合い碧山がかち上げできたが、翠富士は昨日の高安戦同様怯むことはない。

うまく食らいついて堂々とした内容で白星を掴んだ。

ここ数日記載しているが、今場所の翠富士は巧さ、速さ、そしてここに来て小兵力士とは思えないほど力強さも見せている。

さすがにこのまま全勝で突っ走るとは考えにくいが、上位圏内の力士と割が組まれたときどれだけ力を発揮できるか注目である。

昨日初黒星を喫した大栄翔は阿炎を下して連敗を免れた。

阿炎の突っ張りを下からあてがい、引いてきたところを攻めるという流れのある相撲だった。

昨日の黒星を引きずることなく、理想通りの相撲で白星に結び付けたことは大きい。

役力士唯一の1敗力士のため、このまま食らいついていきたいところである。

同じく昨日初黒星を喫した高安は手痛い連敗を喫した。

平戸海相手にもろ差しを許し、終始劣勢に回ってしまった。

中巻きかえて左四つになったが、平戸海がすぐに巻きかえして休まず攻め続けていた。

高安としては最低でも1敗で終盤戦上位圏内の力士に挑みたかったところだろう。

まだ場所は半分残されているとはいえ、星の差は2つとなり、ここでの連敗はかなりの痛手である。

それにしても平戸海の相撲が素晴らしかった。
数日前にも記載したが、実力者相手に力負けすることなく相撲を取り切っている。

大勝こそないが、着実に力をつけているため今後も楽しみである。

2敗力士に目を向けると、正代の存在が不気味になってきたか。

初日から今場所の正代はここ数場所と異なるとは思っていた。
とはいえ貴景勝、大栄翔に対してはいつも通りの内容で敗れていたため、良いといっても勝ち越しが関の山という思いで見ていた。

また先場所も9日目~12日目までは強い正代だったし、どこかで崩れる可能性も高いため、優勝争いと考えたとき正直予想しづらい力士だった。

しかしこの2日間阿炎、若元春と好調の2名相手に圧勝している。

この相撲を見せられると少し期待したくなる気持ちがある。

とはいえまだまだ先は長いため、2敗のまま二桁まで白星を伸ばしたとき、私自身本格的に期待するのではないだろうか。

役力士で2敗の琴ノ若も良い相撲で2敗を守った。

あまり調子の良くない玉鷲とはいえ、玉鷲の押しを許さず完勝したのは素晴らしい。

2敗は十分優勝圏内のため、この先の活躍に期待である。
琴ノ若自身、優勝はわからないが、二桁は視野に入れているだろう。

全員3敗以上を喫して現状優勝争いという点では厳しい3関脇は本日安泰。

怪我が心配される霧馬山は翔猿と動き回る熱戦となったが、最後は右四つに組み止めた。

昨日と本日の相撲だけでは怪我の具合に関して何とも言い難いが、とにもかくにも白星に結び付けたことが大きいだろう。

二桁のためには厳しい道のりになるだろうが、本日のように必死に白星を掴んでほしいところである。

豊昇龍が御嶽海を下して5勝目。
立ち合いから左上手を引き、その後頭をつけて食らいつく展開となった。

今後豊昇龍が目指すべき相撲内容と言えるだろう。
困ったら立ち合い変化するのではなく、辛抱強く白星を掴むことで、いざというときにも力を発揮することが出来るのではないだろうか。

若隆景が3連勝。
本日も冷静に錦木を捌いた。
やっと落ち着きを取り戻してきたか。

5敗しているとはいえ、この先翠富士と割が組まれる可能性も0ではない。

もしそうなれば出場している力士の中で現状最高位であるため、意地を見せてほしいところである。

明日の注目の割は
琴ノ若ー正代』
この一番である。

両者とも2敗であり、昨日と本日の相撲は完勝だった。
攻めの良さが光っている両者だが、勝てば優勝争いに残るだろう。

どちらの勢いが勝るのか注目である。

上記の通り翠富士がただ一人全勝だが、このまま突っ走るとは考えにくい。

ここ数場所の展開からすると3敗もまだ可能性は十分あるとは思うが、現状で3敗を喫しているとやや厳しい印象を受ける。

明日から後半戦へ突入するが、私の予想としては
『大栄翔>琴ノ若>正代=翠富士』といった感じである。

まぁこれに関しては予想と期待も含まれている。
私個人としては役力士から優勝が誕生し、そして優勝を基点に大関への足固めとしてほしいという願いがある。

そういう意味でも明日の『琴ノ若ー正代』の一番は後半戦最初の鍵を握る取り組みになると思うがはてさて…

そして昨日も記載したが、割の編成もうかうかしていられない。

そもそも明日の『大栄翔ー玉鷲』も突っ込まれても仕方ない編成なのだから。

629. 2023年春場所7日目を勝手に語る

貴景勝休場。
これに関しては仕方ない。
何なら昨日記載したように早めに決断を下して良かったと思っている。

それでも残念という思いが強いとも言えるか。
単純に綱取り失敗となったのではなく、怪我をしてしまったことが残念である。

ここ2場所で同点→優勝という成績を残しており、先場所は大関以上が1名しか出場していない中で大関の責任を果たした。

機が熟したと感じたし、今場所も初日に躓いたとはいえ、3日目には好調正代に圧勝している。

綱取りへの可能性を感じさせただけに残念であるが、とにもかくにもまずは治療に専念してほしいところである。

綱取りから一転来場所は角番だが、まだまだチャンスはあるだろう。

貴景勝の休場により、今場所は関脇以下の優勝が決定した。

そして出場している力士の中では関脇が最高位となるわけだが、その関脇も本日で全員3敗以上となった。

ここ1年12勝の優勝が多いとはいえ、7日目で3敗はかなり厳しい展開である。

大関の足固めの場所である霧馬山は琴ノ若相手に良いところなく3敗目を喫した。

昨日の怪我の影響によるものなのかどうか不明だが、琴ノ若相手にあっさりもろ差しを許す辺り、万全とは言えないか。

二桁の白星のためにもやや苦しい展開になってきたか。

昨日苦言を呈した豊昇龍は竜電相手に冷静な相撲を取ったか。

体調は万全ではないかもしれないが、それでも本日のような相撲を取って白星に繋げていけば自信にも繋がっていくだろう。

昨日初日を挙げた若隆景が連勝。
阿武咲の当たりに下がり、いなしに泳ぐ場面もあったが、最後まで我慢して相撲を取ることが出来た。

優勝争いという点ではさすがに厳しいと言わざるを得ないが、この力士は後半盛り返す事が多いため、巻き返しに期待したいところである。

役力士の優勝に期待したいという点で関脇の次に小結へ目が移るが、全勝の大栄翔に土がついた。

本日立ち合いの当たりは良かったが、うまく足を運ぶことが出来なかったか。

思いの外若元春が下がったので距離感にズレが生じた可能性もあるか。

昨日危ない相撲をモノにし、大栄翔に追い風が吹いたと思った翌日に敗れたのはやや残念な思いが強い。

とはいえ本日の内容自体は決して悪いものではないため、月並みだが連敗だけはしないことだろう。

一方若元春が5勝目を挙げた。
左四つに組んでの強さはもちろんのこと、本日のようにしぶとい相撲も取ることが出来るため、この先も展開次第では面白い存在になるだろう。

霧馬山に勝って琴ノ若も5勝目。
昨日は悔しい思いをし、そのうっぷんを晴らすかのような内容だった。

上の番付を目指すためにはまず三役で二桁勝ちたいだろうし、今場所展開次第では優勝争いにも顔を覗かせる可能性もあるだろう。

さて本日注目の平幕全勝同士『翠富士ー高安』の一番は翠富士に軍配が上がった。

翠富士が勝つこと自体に驚きはないが、内容には驚きがあった。

立ち合いは高安が右かち上げで先手を取った。
そこから高安が突っ張っていくことも想定内だったが、翠富士はその突っ張りを下からあてがい逆に圧力をかけていった。
そして最後はうまく右から突き落とした。

大体の小兵力士は高安のかち上げ、突っ張りからの叩きの流れで落ちることが多いが、翠富士は怯むことなく、むしろ突っ張りを意に介してなかった。

今場所の翠富士は巧さと速さを武器に相撲を取っていたが、本日の相撲を見ると力強さも加わった内容であった。

高安を力強く下したこともそうだし、全勝対決を制したことでさらに自信が付くのではないだろうか。

一方高安としては面を食らった部分もあるか。
中に入れさせないように意識はしていたと思うが、突っ張りが通じなかったのは計算外だったのではないだろうか。

高安としては全勝のまま上位圏内の力士に挑みたい気持ちがあっただろうが、とにもかくにも明日以降切り替えていきたいところである。

最後に『正代ー阿炎』の一番だが、この一番を見て改めて今場所の正代は良いのだと感じさせられた。

元々この両者は合い口の問題もあるが、1敗の阿炎相手に相撲を取らせず完勝したのは正代が強い他ならない。

先場所も9日目~12日目までは強い正代だったため、この先どうなるかはわからないが、場所を荒らす可能性は秘めているか。

明日の注目の割は
『大栄翔ー阿炎』
この一番である。

1差対決であるが、ここで大栄翔が敗れることになると、優勝争いはかなり混沌としてくるだろう。

現状翠富士が全勝であり、今場所はかなり強さも発揮しているが、だからと言ってこのまま全勝でいくとは想像しにくい。

翠富士としては単独先頭に立ったことでどのような影響を及ぼすだろうか。

如何せん場所はまだ半分以上残されている。

割の方もうかうかしていられない。

上位陣がいないのだから翠富士、高安に早々役力士をぶつけても良いだろう。

うかうかしていると関脇同士の割すら消滅する可能性があるため、早めに対応してほしいところである。

628. 2023年春場所6日目を勝手に語る

大相撲春場所も中盤戦へ突入した。

綱取りへ崖っぷちの貴景勝は御嶽海に敗れて3敗となり、綱取りは絶望的となった。

残り全勝して12勝の優勝の可能性が0ではないとはいえ、さすがに状態を考慮すると厳しいと言わざるを得ない。

本日も昨日同様、立ち合いの当たりは良かった。
膝への負担を考慮して一気に押し込んでいきたかったのだろうが、二の矢攻めが出来ない。

二の矢攻めが出来なければそこから十八番である左突き落としにもいけない。

4日目以降、何とか気力で土俵へ立ち続けているが、本日の黒星により集中力の糸が切れた可能性もある。

私個人の思いとしては早めの決断を下してほしいという気持ちがある。

たった1人残された上位として責任を果たすために土俵に立ち続けることは立派だと思う。

先場所はその結果見事優勝を果たした。
先場所の優勝は責任感も立派だが、精神的にも大きく成長したと言える。

ただこのまま負けが込み、終盤戦で途中休場を決断するとなればこの先にも多大な影響を及ぼしてしまう。

大関の責任も大切だが、それ以上にこの先の貴景勝の身体の方が大切である。

決して今場所がラストチャンスではない。
まだまだチャンスは巡ってくるだろう。

決断を下すならば早めに下すべきだ。

本日注目の割である『琴ノ若ー大栄翔』は大栄翔に軍配が上がり、全勝を守った。

ターニングポイントとなる可能性も秘められていた一番だったが、大栄翔の執念が勝ったか。

今場所初めて大栄翔は自分の相撲を取ることが出来ず、劣勢に回ってしまった。

立ち合いすぐに琴ノ若に差されて突っ張ることが出来ず、絶体絶命であった。

しかし大栄翔は諦めることなく、土俵際逆転の突き落としを決めた。

優勝する力士というのは実力だけではなく、危ない相撲を白星に結び付ける事が多い。
まだ6日目だが、役力士は大栄翔以外2敗以上を喫しているため、大栄翔にとっては追い風の展開か。

一方琴ノ若としてはここで勝てば引きずり下ろすチャンスだったが、土俵際のツメが甘かった。

豊昇龍戦もそうだが、十分な形になった後の土俵際が今後の課題と言えるか。

今場所初めて3関脇が全員白星とした。

ようやく白星を手にした若隆景だが、本日は若隆景らしい巧い攻めを見せることが出来た。

厳しい展開であることに変わりはないが、この白星をきっかけにしてほしいところである。

『豊昇龍ー阿武咲』の一番は両者に苦言を呈したくなる内容だった。

まず豊昇龍だが、困ったら変化するという癖が毎場所見受けられる。

豊昇龍自身、このまま上を目指す気持ちがなく関脇に留まるならば良いだろうが、上を目指すならばこういう相撲は減らしていかなければならない。

なぜなら逃げ癖がついていてはいざというときに力を発揮出来ないからだ。

昨年九州場所はそれが露呈される形で終盤戦に連敗を喫してしまった。

先場所の序盤戦は覚醒したと思ったが、正直本日の相撲を見る限りまだ上を目指す力量がないと感じさせる内容だった。

期待しているだけに厳しいことを言わせてもらうが、とにかく本日は残念な内容である。

一方阿武咲は豊昇龍が変化を多用する力士であるとわかっていながらあっさり食ってしまった。

あまりにも無警戒だし、あれについていけないようではやはり上位定着は難しいと感じさせてしまう。

今場所は翠富士戦でも立ち合い変化を食っているため、対戦相手も『阿武咲は変化すれば落ちる』という認識に至るだろう。

もろに弱点を晒しているため、上位定着のためには克服が必要になるだろう。
昨日霧馬山を良い相撲で下しただけに残念である。

霧馬山が錦木を下して4勝目。
錦木の小手投げは織り込み済みであり、うまく外掛けで対処した。

取り組み後、左腕を負傷したのが気掛かりである。
今場所大関の足固めの場所のため、明日以降影響がなければ良いのだが。

昨日触れた伊勢ヶ濵コンビは翠富士が全勝を守ったが、錦富士は敗れて1敗へ後退した。

それにしても翠富士の相撲が素晴らしい。
攻めが早いし、相撲技術も最高峰である。

本日の対戦相手である遠藤も現役では上位の相撲巧者である。

その遠藤に対して完全に巧さ勝ちしたと言えるだろう。

今場所上位圏外の番付であるが、このままいけば間違いなく役力士と割が組まれるだろう(何ならもう組んでも良いと思ってる)。

そこでも力を発揮できるかどうか注目である。

そして本日目を引いたのが平戸海である。

実力者隆の勝相手に力強い堂々とした内容で白星を掴んだ。

星こそ五分だが、毎場所着実に力をつけている印象を受ける。

身体はあまり大きくなく、その中相撲が大き過ぎるときもあるが、今後も注目の力士である。

明日の注目の割は
『霧馬山ー琴ノ若
『翠富士ー高安』
この2番である。

役力士では大栄翔以外2敗以上であり、関脇以上ならば霧馬山以外3敗以上である。

霧馬山としては関脇以上の力士として意地を見せてほしいし、大関の足固めのためにも重要な一番となるだろう。

新関脇に対して酷な願いかもしれないが、こういう状況を乗り越えることで大関に近付くことが出来るだろう。

ただ問題は本日の怪我がどの程度のものなのか。
最悪の場合休場もあるため、何とも言い難いところである。

そして平幕全勝対決。
この一番に関してはわりと早めに組んでくれてありがたい気持ちがある。

そうでなければまた終盤戦上位の割崩しが行われる可能性が高くなる(まぁそれでも崩される可能性はあるのだが)。

ここまで両者自分の相撲を取り切っているが、高安としてはある意味当然と言えば当然の結果であり、そこまで驚きはない。

一方翠富士は上記の通り、存分に力を発揮していると言える。

経験が上回るのか、それとも勢いが上回るのか。
興味深い全勝対決である。

貴景勝の綱取りが絶望的となり、今場所この先どこに注目が集まるのか。

終盤戦に高安が首位に立っている状況ならば間違いなく『高安の初優勝』に注目がいくだろう。

しかしまだ中盤戦が始まったばかりのため現実味がない。

霧馬山の大関の足固めに注目したいところだが、怪我の心配がある。

私個人としては何とか役力士に踏ん張ってもらいたい気持ちが強い。

さすがにこのまま全勝で突っ走るとは考えにくいが、それでも優勝経験のある実力者大栄翔に期待したいところである。